難関クリア
日本代表の練習は、警察のスポーツクラブのスタジアムで行われました。
これがちょっと不便なところで、タクシーの運転手も場所をよく知らないし、
反対側には大きなホテルがあるのですが、そこまでは片側5車線の高速道路を
車の流れを気にしながら渡らなければなりません。当然、地元の人で渡っている人はいません。
泊まっているホテルのすぐ近くが大きなバスターミナルでした。
練習場の場所は調べてあるので、そこまでバスで行ってみようと思います。
ところが、バスターミナルの混雑ぶりは異常でした。
どのバスにも長い列ができています。乗りたいバスの列を見ると200人以上が並んでいます。
誰も割り込もうとしないのには感心しましたが、これじゃどれくらい時間がかかるかわかりません。
仕方がない。タクシーで行きます。
まだ行きはいいんです。ホテルの前で車が拾えるから。
帰りはタクシーなんて走ってません。走っていても高速道路ですから、
とても止まってくれそうにありません。
他の報道陣はメディアツアーのバスで帰っていきます。
新聞やテレビの記者以外はほとんどドバイに来ず直接マナマ入りするようなので、
練習が終わってみると、ぽつんと一人スタジアムに取り残されてしまいました。
仕方がない。歩いてホテルの方向を目指します。
高速道路の脇をてくてく。
車で30分ぐらいだったかな、と思っていると30分歩いたところで最初の試練が
訪れました。高速道路が交差していて、とても渡れそうにないのです。
仕方がない。交差している高速道路に添って歩きつづけます。
どんどんホテルの方向とは離れます。でも高級車がビュンビュン走る高速道路を走って横断する度胸はありません。
こりゃ今日中に帰れるのかな、と思ったとき、目の前に病院がありました。そこにはバス停のマークもあります。
ともかくバスに乗って高速道路を横断できれば、と思ったら、次に来たバスの行き先は、今日の昼行ったホテルの近くのバスターミナルです。天の助け!
バスに乗ると、運転手の近くの席は女性専用でした。イスラムの国だけに男性と女性はしっかり区別されています。トラブルを避けるためにはできる限り運転手の近くに座ったほうがいいと思っていたら、女性専用席のすぐ後ろが空いてました。すかさず座ります。
バスの料金は約40円でした。どこまで行っても均一料金。
車内を見渡すと、アラブの人はいません。東南アジア系に見える人たちばかりです。彼らからすると、僕が他の人と違って見えたのでしょう。隣の席になかなか誰も座りたがりません。
バスは碁盤の目のような道路を、じっくりと一筋ずつ確認するように走っていました。
ある通りにはインディアン・スクールがありました。しばらく走るとパキスタン・スクールがありました。ドバイは様々なものを飲み込んでいる町のようです。
そう言えば、ドバイ料理って見かけませんでした。他の国の料理ばかり。
1時間30分ほど乗ったでしょうか。やっとバスがホテルの近くにやってきました。ボタンを押して運転手に合図してバスを降ります。
何とか無事に帰り着きました。同時にドバイのバスを制覇。難関クリアです。ということにさせてください。ああ、疲れた。