カタール戦
カタール戦。高原のゴールで先制するも、終了まであとわずかのところで同点に追いつかれる。
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試合当日、記者室では緊張感が高まる場面がいくつかある。突発的な出来事は別として、特に緊張感が高まるのは、試合のメンバー表の配布と、チケットの配布だ。
試合のメンバー表は、海外での試合の場合、印刷が間に合わないで全員に行き渡らないことがある。いや、近頃は日本国内でもやっと手に入れたメンバー表を手に記者席に向かったら、もう場内放送で発表されていたということもあった。ともかく、いち早く日本に情報を提供しなければならない仕事の場合、このメンバー表を急いで入手するというのは重要な仕事だ。ラッシュアワーの比じゃない押し合いが見られる。
続いて、試合後の監督会見と、選手の取材ができるミックスゾーンのチケットを手に入れなければならない。チケットがない限り、試合後の記者は極端に仕事の幅が制限される。また選手コメントの仕事のニーズは高く、フリーランスの記者にとって、ここでコメントを拾えるかどうかは死活問題になる。記者はリストに名前を登録し、じっと成り行きを見ることになる。試合の1時間前にチケット配布が始まることが多いが、実際には時間は前後する。だからチケットがほしければ、記者室を離れることがあまりできなくなってしまう。
日本サッカー協会の交渉が実ったのだろう。幸いにしてこの日は希望者全員にチケットが行き渡った。
試合後、カタールメディアの一人が「日本って強くないな」と笑いながらやって来た。
我慢。ひたすら我慢。とにかく我慢。
我慢し過ぎてホテルに帰ってから気持ちが悪くなった。
同時刻、同室のカメラマン、六川さんはホテルの入り口のラウンジにスリッパで現れ、レストランに焼酎をお持ち込みし、戸惑うウエイトレスに食べ物を頼むとそのままふてくされていたらしい。そして同行の編集者の六川亨さんに明日の日本代表のトレーニング時間を調べるように言い、部屋に帰って弟さんから連絡が来ると「知ってるよ!」と怒っていた。