野良電波すら飛んでいないサンクト・フェイト
13時に夕方トレーニングがあると正式発表された。
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深夜にタクシーで帰ってきて一休み。締め切りにゆとりがあるので、朝起きてゆっくり原稿を書けばいい。
シャワーを浴びて、さて誰からメールが来てるかな。
…。……。………。
反応がない。インターネットがダウンしている。
とりあえずフロントに行く
「インターネットに接続できないよ」
するとフロントの女の子は困った顔で
「他のお客様からもそんな話があるんですよ。ラインがダウンしてるようです」
と言った。
「いつ復旧する予定ですか」
「それが土日だから何も出来ないんですよね」
え?
急いでパソコンを持って町に飛び出した。フリーのアクセスポイントがないか探してみる。サンクト・フェイトの町を、ラップトップを開いたままウロウロとうろついた。
でも、どんな電波も一切検知できなかった。別のインターネットが使えるホテルを探そうか。だけど、さらにクラーゲンフルトから離れないともうホテルはない——。
必死で歩き回っているとインターネットカフェを見つけた。助かった。だけど日本語フォントがインストールしてなくて、画面には「?????????????MF????????????FW?????」としか出てこない。「日本は素晴らしいMFが走り回ってFWも粘り強くチャンスメイクしたが結局ノーゴールで引き分け、最後はオーストリーがPK戦を制した」だと思う。深読みし過ぎ?
途方に暮れていたら、一台だけ日本語フォントもインストールしてあるのが分かった。これを使えばどうにか送信できそうだ。慌ててホテルに帰って原稿を書き上げる。さあ、メモリーカードに移してインターネットカフェへ!
おや、閉まってる。さっき22時まで営業してると言ったのに! 締め切りまであと12時間。どうなる?
とぼとぼ歩いて帰った先のホテルはライトアップされてきれいだった。2階ではパーティーが開催されており、部屋はすぐ外のライブハウスの音がモロ聞こえと、きっと別の時なら楽しい一夜が過ごせるのだろう。だけどインターネットは復旧の目処が立っていない。