いきなり無人の練習場
深夜1時過ぎに今日の午前中のトレーニングが中止になった。オシム監督は直前にスケジュールを変更する。13時、午後の予定が確定した。午後は予定どおり。
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日本の新聞記者さんたちは日本サッカー協会が用意するメディアツアーに参加する人たちが多い。日本代表と一緒の飛行機の便で飛び、十分な環境の整ったホテルに泊まる。移動のバスも仕事の都合に合わせて用意されている。一分を争う仕事だがら、ともかく情報が集まる場所を押さえるのだ。
だけど当然のように高い。そこで新聞やテレビ以外の記者は独自にホテルを探したり、飛行機の便を手配する。多少の不便はあっても値段優先だ。
この大会では、日本の記者が泊まっているホテルとは別に、大会事務局がメディアホテルを用意した。今回はそのメディアホテルを利用する。料金は一部屋でいくらと決められているので、カメラマンの六川さんと一緒に泊まれば半額ですませることができる。しかも試合当日はホテルとスタジアムをメディアバスが往復してくれるので、試合後の移動手段が保証される。
この、試合後の移動手段、というのはホテルを選ぶ際の大きな要素だ。取材が終わって、いざ原稿に取りかかろうとするけれど、スタジアムの記者室はそうそう長く使えない。だから一刻も早くホテルに帰って書き始めたいのだけど、バスやタクシーには長蛇の列ができていたり、あるいはもうすっかり姿を消していたりして、なかなか捕まらないのだ。
だけどメディアバスがホテルまで連れて行ってくれるのなら焦らずに済むというものだ。しかもベトナムサッカー協会が用意してくれたホテルは、四つ星なのにリーズナブル。ビバ、ベトナム。
ホテルの朝食はたっぷり種類のあるバイキング。フォーも食べることができる。外食しても高くないんだろうけど、長丁場の健康管理を考えて、朝詰め込めるだけ詰め込んで、できる限り外食を避けることにした。しかもうまいっす。
現地入りしたら、まず最初にしなければいけないのはプレスパスの受け取りだ。今回は4カ国にまたがっているし、IT化に対する不安もあったけど、あっさり顔写真が入ってパウチまでされたADカードを入手できた。
プレスカード以外に、取材要項、メモ帳、スケジュール表、バッジ、ペン、シャツなどがもらえた。
どの国でプレスカードを発行してもらったかで、もらえるシャツの色が変わる。
入手したところで、急いで練習場に向かう。
誰もいない。
練習は中止だった。オシム監督にはよくあることだ。
日本のメディアツアーに参加していないと、こういうことがたまに起こる。
広報担当者にベトナムに来たことを伝え、これから先は電話で連絡を入れてもらえることになった。