湘南 0 – 2 鳥栖 切なくなる久しぶりの勝利
鳥栖が湘南を2-0で下し、10年ぶりとなるアウェイの勝利を収めました。鳥栖が昇格した2011年もBMWスタジアムでは勝てなかったので、ずいぶん久しぶりに鳥栖サポーターは美酒を味わったことでしょう。
ですが、この日の湘南は「湘南」だったのでしょうか。僕が知っている湘南は、特に曺貴裁監督率いる湘南は、もっと別のチームでした。競り合いを厭わず、怖れず前に飛び出し、力の限り上下動する姿は、いつも胸を熱くさせるものがありました。BMWスタジアムの雰囲気もそれをずっと後押しし、選手たちの足を動かし続けさせていました。
確かに鳥栖の守備がうまかったというのはあります。さっと戻ってブロックを作り、湘南の飛び出すスペースを消していました。豊田陽平選手は好調で、制空権を完全に把握していました。鳥栖のボール回しがスムーズになり、湘南は取りに行くポイントを絞りにくかったというのもあるでしょう。湘南は3バックを途中で4バックに変え、左右のスペースを埋めるようにしてやっと安定しました。
湘南から毎年、多くの選手が移籍して出て行くのが影響しているのかもしれません。2015年が終わって移籍した選手に遠藤航(浦和)、永木亮太(鹿島)、秋元陽太(FC東京)、古林将太(名古屋)がいます。2014年は丸山祐市(FC東京)がプレーしていました。もちろん、入ってきた選手たちもいます。だけど、新しい選手たちが監督の要求する運動量を身につけるまで、時間はかかります。
主力選手を放出してるのは財政的に厳しいからだろうか、と思ってしまいます。そしてそんな湘南に、かつて資金難で苦しんでいた鳥栖が勝ったわけですが、こういう湘南に勝つところを見たいんじゃないだろうな、と思ってしまいました。あのガンガン来る湘南を下してこそ、鳥栖の昔からのファンの人たちは満足できたんじゃないでしょうか。
もちろん鳥栖の勝利にケチを付けるつもりはありません。湘南がウェズレー選手を投入して巻き返しを図ったところをじっくり我慢した後に青木剛選手を入れて締めた采配などは本当に見事でした。でもね、何か、何か切なくなる試合でした。