ハリルホジッチ監督が小林悠を2回呼んだのは……
3月7日と8日、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は衆目を集める前で、様々な選手を呼んでダメ出しをしていました。8日の午前中はGK3人が呼ばれ、午後はMFとFWから7人の選手が注文をつけられています。
ですが8日、練習前と練習後にも呼ばれた選手は1人だけ。それが小林悠でした。
小林にとって2015年の日本代表は失意の年だったと思います。ハビエル・アギーレ監督によってアジアカップメンバーに選考されたものの、ついに出番のないままオーストラリアを去らなければならなりませんでした。あのときの悔しそうな顔は忘れられません。
ハリルホジッチ監督就任直後にも招集されましたが、直前のリーグ戦で負傷し辞退を余儀なくされました。その後も代表戦が近くなると、必ずケガに悩まされてきました。
年が明け、小林の運気は変わったようです。「身体に問題はありません」と、やっとハリルホジッチ監督の代表合宿に参加しています。初めて自分の手元に置いた小林に、監督はまず何を話したのか。
「個人の課題を話してもらいました。僕はもっとフィジカルを強くなることと。運動量もスプリントの回数もまだまだ足りないと。それは自分でも思っていたことです」
「それに、『この前の試合(湘南戦)も前半2点取っていい活躍だったけれど、後半は目立ったか?』と。よく見てくれていると思いました」
日本代表と所属する川崎フロンターレの類似点を感じ、小林は手応えを感じているようです。
「(日本代表は)前に早くというイメージが一番強いですね。なるべく前に当てて落として、3人目の選手が裏を取る。でも、僕が普段やっているような動きだったので、やりやすい。川崎と結構似ている部分があります。守備のプレスの部分もそうです」
「取った後の速さには違います。川崎はボールを大事にするので、取られそうだったらあまり当てないでしっかり繋げという感じですが、代表では今早く当てようというプレーです。その違いだけですね」
1年間日本代表から離れていたというのに、小林には落ち着きがあります。離れていても、小林は成長を続け、だからこそまた呼ばれたのでしょう。
「(日本代表は)刺激的な場所ですし、自分の成長に繋がると思います。前は緊張が高くてあまり自分から声を出したり出来なかったのですが、今は練習中から声を出すようにしています。年齢も上になってきたので、慣れてきた気もします。自信がだんだん出てきているのもあるかもしれませんね」
こう話した後、小林はニッコリ笑って「あと1日、しっかりケガなく終わりたいですね(笑)」とスマイルを見せました。
ところで、最後に一人だけ呼ばれてハリルホジッチ監督から何を言われたのか。監督は「練習どうだった?」と聞いてきてくれたそうだ。初招集ということで気を遣ったのでしょう。
小林は「楽しかったです」と答えたそうです。その答えも、小林が負傷していないことも、監督をホッとさせていることでしょう。