【W杯】ブラジル敗退から一夜明けて、もう1つの準決勝
サンパウロは灰色の空に覆われていて雨も少し降っていました。メインスタンドとバックスタンドは屋根で覆われているものの、両ゴール裏には屋根がなく、しかも傘の持ち込みが禁止されているので体を濡らしながら見る人も多いことでしょう。
メディアセンターのボランティアたちに元気がありません。記者席のチケットをもらうとしたら係員から「アルゼンチンとオランダのどっちを応援するの?」と聞かれ「アルゼンチンかな。だってここは南米でしょう?」と答えたら露骨に嫌な顔をされました。きっとアルゼンチン人に大きな顔をされるのがいやなのでしょう。アルゼンチンvsスイスのときには煽っている人たちもいましたからね。
今回も僕が泊まっているホテルはアルゼンチン人で溢れているのですが、彼らにはスイス戦のときほど余裕がありませんでした。前回のときは目が合うとにこりと微笑んでくれたりしました。ですが今回は目を合わせることもありません。緊張感がファンからもヒシヒシと伝わってきます。
対照的に明るかったのは、メディアバスで隣に座ったのはオランダ人の記者。「今回も決勝に行けると思うよ」と自信を見せていました。「ロッベンこそがMVPにふさわしいし」と、胸を張ります。
「コスタリカ戦こそ素晴らしかったけれど、今回のオランダは守備的すぎないか?」と思い切って聞いて見ました。
「僕たちはこれまでワールドカップの決勝で3回負けている。3回もだよ。胸が張り裂けそうな思いをしてきたんだ。僕たちはとにかく勝つことに飢えているんだ」
「そして今度こそドイツに勝つ!」
アルゼンチンのファンの心情でも、オランダの記者の心情でも、どちらでもいいので早く日本も味わいたいものです。美しいゲームになりますように。