【W杯】リオのターミナルには二面性がありました
8時過ぎにスタジアムを出てバスターミナルに向かって歩き始めると、警官の姿は次第に少なくなっていくところでした。とことこリオの道を歩いて、来るときに降りた反対側のバス停を探しますが、見つかりません。スタジアムの端を外れて、さて、いよいよ暗くなってきたと思ったとき、1人の警官が話しかけてきました。
「どこに行くのですか?」
「高速バス停まで行くつもりです」
「歩いて? 悪いことは言わない。タクシーを拾いなさい。ここからさきは暗いよ」
するとタクシーが一台するすると寄ってきました。警官は「ほら」という感じでこちらを見ています。これを振り切っては歩いていけないと感じ、素直に乗車しました。
行先を告げるとタクシーはさっと走り出します。やはり方向は合っていたようです。ですが、確かにスタジアムの端を外れると歩いている人を見ません。10分ほどだったと思うのですが、人影は4人でした。
料金は13レアル(約650円)。これだったら歩けると思うのだけどなぁ……。
タクシーから降りた高速バス停の1階は光量も少なく、何となく人が物陰に隠れている雰囲気です。ここで深夜まで待つのはかなり気合いを入れないとダメだぞ、と思って周りを見ると、みんなエスカレータで上に上がっていきます。人混みに紛れるつもりで上がっていくと……。
あら? 規模こそ小さいもののサンパウロのバスターミナルと似ています。どうやらずいぶん遅くまで営業しているようです。1階と2階はまるで別物。明るいし、これなら大丈夫かもしれません。あとはうたた寝をしないように気をつけて……。眠い、強烈に眠い。
コーヒーショップに入って砂糖をたっぷり入れたエスプレッソを飲んでちょっと回復。それでもたまりません。椅子に腰掛け、手をスーツケースに巻き付けてうたた寝をします。途中で横に人が座ったのでパッと見ると若い女性でした。これはワナ? と思ったのですが、僕と目が合った女性はすぐに席を立ってしまいました。涙。
はっと目が覚めたら0時30分。あと30分で出発です。そろそろバスが来ているころ。寝惚け眼でバスを探し、乗り込むとそこはたくさんのコロンビア人が。帽子を見つけて大声で喜んでもらいました。ところが僕の後にウルグアイ人が、ばつの悪そうな顔をして乗り込んできました。さすがにコロンビア人もそこからさきは大声も出さず、大人しく座っています。
バスは定時に出発しました。行きに比べるとバスはガラガラ。1人で2人分の座席が使えたおかげで、行きよりもぐっすり寝られました。フリーダムな夫婦は、こちらでもそうそういないのだと思います。