川崎vs大宮 かつての川崎からの贈り物

風間監督になって川崎のサッカーは変わりました。それまでの個々の特長、あるいは一発芸的な尖っている部分だけを集めてうまく組み合わせ、爆発的な攻撃力を見せていたサッカーから、全体のサッカースキルが高い、試合を支配しながらじっくり相手を攻め落とすサッカーに大きくシフトしています。

そのため、「川崎劇場」と言われた最後の大逆転劇は消えていくのではないかと思っています。もちろん大久保選手、レナト選手などの爆発力は残っているにしろ、今後の川崎らしい勝ち方は、華麗にボールを回し、相手を走らせて疲れさせ、一気に陥れるような勝ち方になるのではないかと想像しています。かつての清水や磐田のような戦いぶりを想像しているのです。

その切り替わりの少し前世代に所属していたのが、大宮のキャプテン菊地選手でした。川崎では当初ボランチとして出場していましたが、背後を疲れる場面が続いたため、守備ラインにコンバートされました。ただとても分かりやすい特長のある選手でした。とにかくヘディングが高い。滞空時間が長い。

4分、菊地がその特長をいかんなく発揮します。CKから打点の高いヘディングで先制。ですが川崎も12分、大島、中村、田中とつないでペナルティエリアを攻略し、オウンゴールを誘います。

ところが29分、大宮の家長がひらりひらりとドリブルでかわし追加点。川崎はいったん落ち着いてしまいますが、ハーフタイムを挟んで盛り返し、70分、中村がペナルティエリアへ斜めにカットインし、そのパスをレナトが決めて再度同点としました。さらに小林のオーバーヘッド、中村のポスト直撃のシュートなどで攻め立て続けていた86分、大島のパスに抜け出した小林のゴール前を横切るパスを大久保が決めてついに川崎が逆転に成功しました。

もしかすると、昔の川崎ならここでがっくりと来た大宮を執拗に攻め立て、4点目、5点目を奪ったかもしれません。「ACLの疲れはない」と試合後に小林選手は言っていましたが、それでも連戦で体も心も動かなくなっていたのかもしれません。

90分、家長のFKを菊地がまたもヘディングで決めて大宮は同点に追いつきます。慌てて攻めに出た川崎の逆を突き、チョ・ヨンチョルがドリブルから豪快に蹴り込み、大宮が大逆転で勝利を収めました。

出ていった選手に弱いというのは、どのチームにもあることですが、僕は特に川崎はそんな傾向が強いのではないかと思います。それにしても、菊地選手の2発はかつてのスタイルの川崎からの贈り物のような気がします。

そして勝敗には結びつかなかったものの、面白かったのは川崎の大島選手のポジショニング。中村選手と家長選手の中間のポジションを取り、2人の攻撃参加を抑えつつ、大宮守備ラインの裏を狙っていました。

また、家長選手は周囲との連携があまりよくなく、ポジショニングが難しそうでしたが、ゴールに結びついたドリブルとFKはさすがでした。

では、この日の等々力の進捗状況です。
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一番前の席のコンクリートはすべて打ち終わっています。

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