開幕前に押さえておきたいこと その2 Jリーグ

本日はキックオフ・カンファレンスの日。J1からJ3のうち全クラブの監督と、J3のU-22選抜以外の選手が集まり今年のリーグ開幕をアピールします。

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会場の前にはそれぞれの大会のカップが飾ってありました。ヤンチャしようかと思ったのですが、あまりに人が多くて……なんて冗談です。

この日、僕が一番注目したのは新チェアマンの挨拶でした。村井満・新チェアマンがどんな言葉を語るのか。正直に言えば、20周年ではあまりに仕掛けが少なく、せっかくの記念の年としては物足りなかったと思います。

そのチェアマンのスピーチは、十分ではなかったものの、変革への期待を抱かせてくれたと思います。選手とした「3つの約束」——「笛が鳴るまで全力でプレーする」「リスタートを早くする」「時間稼ぎのような交代を止める」——は、当たり前すぎてむしろビックリという感じでした。今後、チェアマンが観戦した試合で時間稼ぎの交代が怒ったとき、チェアマンが怒りながら降りていくくらいじゃないと、この3つは忘れられてしまう約束になるでしょう。ただし、チェアマンは用意された原稿を読み上げるのではなく、しっかりと会場を見渡しながら自分の言葉で語っていました。5月には追加で何か発表もあるようですから、そこまでは期待しておこうか、と偉そうに聞いていました。

さて、各チームの監督や選手と話したときのこぼれ話。

僕が話した監督の中で今季、自信を持っているのは新潟、川崎、G大阪。3人とも目がギラギラ。新潟の柳下監督は2012年の奇跡の残留、2013年の後期大躍進ときて今年もやってくれそうです。川崎の風間監督には去年あそこまでよくなるとは思わなかったと正直に言いました。「Jリーガーというのは、みんなこういうポテンシャルを持っているのですよ」とのこと。注目している大島選手については「高校時代を見たとき、プロになれないかもしれない」と思ったということです。それがあそこまで伸びてきたというのは、川崎にピッタリ合ったということでしょう。G大阪の長谷川監督は「昇格して即? 当然狙います」ということでした。こういうことを気負わずさらりと言えるのが、相変わらず格好いい。

鳥栖の尹晶煥監督と徳島の小林監督が何か話し込んでいたのは興味深い場面でした。開幕カードの監督2人が何を語り合っていたのでしょう。大宮の大熊監督は前回FC東京で昇格したとき、J1では指揮を執りませんでした。今回、FC東京を離れてどこまでできるか勝負の年です。

選手で言うと、名古屋の野田選手は西野監督に取材が集中して、あまり報道陣がいない時間がありました。「来年はたくさん話を聞いてもらえるようにしたいです」とのこと、まずはケガを治して。面白かったのは浦和の阿部選手が自ら浦和のシールを配っていたところ。人気チームの選手がそれをやるか。それが浦和の凄いところかもしれません。

新潟の川又選手は、千葉の鈴木監督に挨拶に行っていました。「自分を最初に(新潟へ)呼んでくださった監督ですし、あのときに今の自分の基礎が作られたと思っています」と落ち着いたトーンで話してくれました。川又選手のきちんと人の目を見ながら話す姿勢は素晴らしい。けれど、目に迫力があるので、こっちも気合いを入れて話を聞かないといけません。

J2では岐阜のラモス監督が、相変わらず自由人でした。自分のブースを離れてネルシーニョ監督のところに行って話し込んでるし、「(中村)憲剛に会ってくる」と人混みをかき分けて消えるし。水戸の柱谷哲二監督の話を聞いたら「ラモスは就任した途端に予算額が桁違いだもん。(東京Vの三浦)泰年と(長崎の)高木とで包囲網を作ってデカイ顔をさせないようにしようと言ってるんだよ」とのことでした。北九州の柱谷幸一監督は、「いやぁ今年も大変ですよ」と言っていましたが、去年ほぼ位置からに等しいところでチームを作った実績を考えると、今年も台風の眼になりそうです。

そして本当に残って良かった、大分の田坂監督はいつものようにちょっと苦笑いのような顔をしながら「今年もやらせてもらえることになりました」。降格してもなお指揮を任せてもらえるというのは素晴らしいことですし、僕は田坂監督の続投は正しい選択だと思います。「今年で借金が返し終わるので、そうすれば来年から勝負できます」と若手を育てている様子。育成には定評のある監督ですから、ぜひ長期政権で頑張ってほしいと思います。

栃木の廣瀬選手は「とうとう鳥栖よりも栃木が長くなりました」とのこと。こうやってカンファレンスに来るくらいです。栃木の顔の1人ですよ。そこにクラブOBの佐藤悠介さんが来てからかっていました。京都の山瀬選手は「今年は去年より個人の選択する範囲が広い」ということでした。きっとあの踊るようなプレーが今年はもっと見せてもらえるでしょう。長崎の佐藤選手は「去年は実力で試合に出られませんでした。今年はもっと頑張ります」と、変わらぬ爽やかな笑顔で語ってくれました。熊本の巻選手は「九州から盛り上げていきますよ」と、あのはにかむような笑い顔を見せていました。

さて、J3ではYSCC横浜の有馬監督と久しぶりに会いました。有馬監督はプロになった際、メディカルチェックで首の骨が開きすぎているのが見つかり、手術でワイヤーを入れ、何とかプレーできるようになった人物。空港の金属チェックでブザーが鳴ってしまうそうです。そこまでしてプレーしていた人が監督でも頑張っています。これは観に行かねば。というか、J3は町田、相模原、YSCC横浜と狭い地域にチームがあって、これは盛り上がりそうです。

なかなか話せなかったラモス監督のところに行ったら「もういい! もう話すことはない!」といつものラモス節でした。

 

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