フリューゲルスがなくなった日に願う
15年前のこの日、横浜フリューゲルスと横浜マリノスの合併が報道されました。28日の夜、当時僕が所属していた編集部では帰り際に編集長が「横浜の2つのクラブの合併という噂が流れてるよ」と言っていたのですが、「そんなことはありえないですよ」と誰も信じませんでした。
ところが29日の朝、新聞が報道し、その後はみなさんご存じのとおりです。その問題を追いかけた僕は連日深夜までの取材に走り回り、短期集中としてはじめた連載は2カ月にも及びました。いろいろなサポーターの声を胸が締め付けられる思いで聞いていたのが忘れられません。
3年ほど前、フリューゲルスがどんなプレーをしていたか思い出す機会がありました。コスミック出版から「Jリーグ・レジェンド 伝説の名勝負」というムックのシリーズを出すため、インターネットで思い出の名勝負を投票してもらうアンケートを行ったときのことです。1996年5月18日、1stステージ第15節、国立で開催された横浜F 1(6PK5)1 鹿島が忘れられない勝負の上位に食い込んできたのです。
両チーム合わせて5人のブラジル代表がいるという豪華な顔ぶれでした。 僕個人としても、この試合は確かにもう一度みたい。本の企画は、当時の試合を付録DVDに収録し、試合に関係のある人に新たに解説をつけてもらって、当時の資料をきちんと冊子にしておくというものでした。軌跡を残せることにもなります。作りがいのある本になる予感はありました。
ところが、販売の問題が出て来て企画はストップしてしまいました。というのも、本を出すとそのクラブのサポーターが想定購買層です。ところがフリューゲルスを対象にした本を出したとき、誰が買ってくれるのだろう。もうみんな忘れ去っているのではないだろうか。
本当に残念です。いつかどうにかなれば。
あとは2強時代の磐田vs鹿島とか、浦和が初めてカシマスタジアムで勝った試合とか、川崎Fと福岡のJ1リーグ参入決定戦とか、いつか形にできればと思います。Jリーグにも面白い試合はたくさんあるのですから。いつか。