清水vs鳥栖 こんなお得な試合になるとは……
ゴール裏2Fの自由席が前売りで2300円。この試合は1点当たり230円という、サッカーの試合とは思えないような破格の値段になりました。ゴールはサッカーの華だと思っていますが、たくさん生まれすぎると花一輪ずつの美しさには目がいかなくなってしまったのが残念です。
かつて、と言ってもそう遠くない昔、両チームとも堅守が売りでした。ところがこの試合ではともにチェックの甘さが目立ち、常にシュートはビューティフルゴール。つまり守備側が最後まで追いかけられません。鳥栖は大学生2人を起用しなければならないという台所事情も、よけいに試合を難しくしていました。
ただチームのDNAは残っていて、時折接触プレーや激しいぶつかり合いがあるものの、その場やあるいは一息ついた後にお互いに握手や肩をたたき合うという、目に見えないファインプレーが90分間通じてみられたのはありがたいことでした。ところがその雰囲気を主審が読み取れず、河井選手を退場させたのは残念でした。2枚の警告とも、とても叱責するのに値するようにも思えませんでした。
そしてこの日のレフェリングでは、非常に問題のある判定もありました。42分、中盤で鳥栖の池田選手が清水の選手と激しく接触しともに倒れます。ボールがこぼれ、清水の選手が拾い前線に送られます。その折り返しがゴールになったので、試合を止めなかったことが得点を生んだとして主審が褒められることもあるでしょう。
ですが、池田選手はガクンと崩れ落ち、遠目からでも緊急事態であろうとみられました。そこからしばらくプレーが続けられ、ゴールが生まれ、得点が認定された後、やっとレフェリーは負傷した選手の元に駆けつけます。清水の選手が池田選手の周りを囲み、早くドクターに入れとアピールしています。
結局池田選手は頭部に裂傷を負い、脳しんとうも起こしていたそうです。一度立ち上がりますが、また崩れ落ち、担架に乗って退場して病院に行ったと言うことでした。
この負傷の状況をレフェリーが適切に見ていたら、すぐに試合を止めないと危ないと思ったのではないでしょうか。頭部の負傷の場合は症状が酷い場合があり、時間が優先されます。その判定ができなかったことは大きな問題です。
岡田正義主審が鹿島vs川崎で、残り16分を雨のため中止したことがありました。岡田主審は大きな非難を浴びましたが、あれは選手の安全を考えてのこと。得点が生まれそうなときに止めると村上主審は非難を受けたでしょうが、僕はこの場面では止めるべきではなかったかと思います。
さて、6点の大量失点で負けた鳥栖の中で、僕は1人の選手と話をしました。この日、出番がなかったGK赤星選手。今季は第1GKとしてゴールを守っていたものの、負傷し、林選手が加入した後はベンチに座っています。赤星選手に聞いたのは 、なぜこの試合に向けて調整できなかったのか。厳しい質問だったと思います。ですが、赤星選手は逃げずに答えてくれました。その内容は赤星選手がゴール前に戻ったときに書くことができるでしょう。ただ、敗戦の責任を赤星選手も痛感しているようでした。その団結力が鳥栖の強さの源だったはず。この敗戦にもサポーターたちは必死に選手を鼓舞しようとしていました。次は選手が応えてくれる番です。