関東女子サッカー選手権決勝 日体大vsステラ「これだからステラは止められない!」

最近、僕が一番会話をしている相手はカメラマンの高野さんです。お会いしたり、電話したり、LINEしたりするたびに、カメラのことについて教えていただいています。ですが、どんなにカメラの話をしても全体の3割程度。残りの時間はサッカー、というか、女子サッカー、ちゅうかステラの話題ばかり。

高野カメラマンは先週から山梨県で開催されている第35回関東女子サッカー選手権大会に取材にいってらっしゃるので、行けない僕に詳細な内容を教えてくださいます。

日頃にこやかで穏やかな高野カメラマンが、13日夜はかなり珍しく興奮した様子で、まずLINEが入り、その後電話をいただきました。
T「すごい試合でしたよ。本当に興奮しました!」
M「後半のアディショナルタイムに追いついて3-3だったんですよね。そこからPK戦を制して」
T「そうですよ!  この試合を見られないなんて! 井上選手も、寺田選手も、金城選手もみんなやってくれました! PK戦でのGK小林選手も一人を除いてみんな蹴ったボールと飛んだ方向が一緒でしたよ!」
M「うらやましいです……」
T「これだからステラは止められないんですよ! 明日は?!」
M「はい、明日は大丈夫です。試合は10時ですから車での出発は——6時ぐらいですか?」
T 「間に合わなかったら洒落になりませんからね! 5時30分スタートで!」

高野カメラマンの家を出発したのは、5時30分にならないころでした。

談合坂を通り過ぎたのが6時10分ぐらい。

会場に到着したのが7時をちょっと過ぎたころ。

はやい! 早すぎる! これは朝マックしかない!

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さすがに早すぎたのか、高野カメラマン、ちょっと眠そうです。

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ですが、もうそわそわ。

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どうなってんだ、この時計の遅さは!

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もうそろそろ試合始まるんじゃね?

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「さぁ、そろそろ行きましょうか」と言ったときの高野カメラマンのこの表情!

そんなに張り切って会場に到着。おなじみの人たちも準備しています。
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ここまではよかったのですが、試合前はいろいろとありました。

まず、これ。
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この画像の主役は真ん中の椅子です。

報道受付はしていただいたのですが、記者席はありません。「ここで見てもいいですか?」と場所を示すと「大丈夫です」との答え。本部席の裏に椅子がたくさん余っていたので「椅子を一つお借りしてもいいですか?」と聞いたところ、親切な報道受付の人とは違う、どなたかが「椅子は貸せません。自分の椅子を持ってきてください」とおっしゃいます。それを見ていた高野カメラマンが貸してくださったのが、この真ん中の椅子なのです。
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「椅子は貸せません」と言った人物は、その後余っている椅子を倉庫に片付けさせていました。しかも僕が見ている前で。なんか、そんなに歓迎されていないのか、という感じです。

それからもう1つ。こっちはあえて映像をぼかしておきます。
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試合前のミーティングの後に、本部席裏でもめています。両チームでユニフォームの色を決めておいたのに、オフィシャルのミーティングで別の色に決まって、その色では選手が見にくいと言っているという抗議でした。レフェリーがルールを説明しようとしても「どうしてあなたが話をするのですか!」と大声で言葉を遮ったりして穏当ではありません。マッチコミッショナーも判定を下すことができず、結局ステラが白にすることになりました。

Jリーグでも、この試合前のミーティングで、いろいろと心理戦を仕掛けてくる監督がいると聞いたことがあります。もしかして、これもそういう心理戦だったのかもしれません。もしそうだったとしたら、これは逆効果だったと思います。この出来事がステラの闘志に火をつけました。

出足からステラの厳しいチェックが続きます。なでしこチャレンジリーグで対戦し、日体大が勝利を収めた試合では、ステラの立ち上がりのまずさを日体大が突いてリードを奪い、逃げ切りました。その反省もあったのでしょう。ですが、それ以上の気迫が選手にあったと思います。立ち上がりこそ、後藤選手の鋭い動きに手を焼いていたものの、すぐに押し返しはじめました。

選手同様、菅野監督も熱くなっていました。どこからともなく聞こえてくるステラに対するヤジ「そこドカンと蹴ってくるだけだぞ!」に対して、珍しく「ふざけたこと言ってるんじゃないぞ」と叫び返し、戦闘モード。その迫力からか、その後そういう声は聞こえなくなりました。

そして20分、吉見選手のパスに山根選手が抜け出しカットイン。GKの頭上を抜く豪快なシュートでステラが先制点を挙げます。その後もステラがボールを支
配し、押し込んで前半を終了です。

後半、ステラは右サイドを入れ替えてきました。ところがこれが裏目に出て、急にチームがギクシャクし始めます。選手を2人同時に入れ替えると、一気にギアをチェンジすることもできますがコンビネーションが乱れることもあります。この日はまさに後者で、日体大がボールをキープする時間が増えてきました。小栗選手のかき回すプレーや、石井選手のターンの速さが光るようになります。

そんなときに、たとえば敢えて変わった右サイドにボールと人を集め、交代出場した選手が楽にボールを触れる環境をつくってあげて馴染ませるという手もあるでしょう。あるいは試合のリズムを落として試合に入りやすくしてあげるという方法もあります。ですが、まだステラにはその試合コントロールは身についていませんでした。

吉見選手が、相手のパスをカットしてそのままシュートに持ち込み2点目、さらにその6分後、金城選手からのパスを受けて3点目を決めなければ、一気に緊張感の増す試合になったのは間違いありません。実際、3点目が入るまでステラの選手たちの表情はずっとこわばったままでした。

面白いもので、この3点目が入ると、試合の主導権は日体大が握ることになりました。もう点を取るしかないので、どんどん前に出て来ます。ステラはしっかりと受け止めカウンターを狙えばいいのでしょうが、慌てて前にボールを蹴ることが増え、簡単にパスカットされるようになります。

そして後半から出場していた内田選手にカットインからのシュートを許し、3-1とされました。あとはバタバタとした試合展開が続きます。ですが失点後の試合時間は少なかったのが幸いでした。そのまま逃げ切り、ステラは創部2年目にして関東大会を制することになりました。

試合後のミーティングは、実は厳しい内容でした。
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後半の試合展開を考えると手放しでは喜べないということでしょう。まるで負けた後かのような言葉が続きます。

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高野カメラマンもハラハラして聞いていました。

ですが、いざ車に乗り込むときには、この笑顔!!
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今日は高野カメラマンの顔だけでストーリーが作れてしまいました。確かに「止められない」って顔ですから。

さて、最後にその高野カメラマンが送ってくださった写真です。
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来年は君のゴールで勝とうね、古市選手。

 

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