湘南vs名古屋 前を見ている湘南と次を見ている名古屋

流れがハッキリした試合でした。一発の好プレーで攻守が入れ替わって、どちらが主導権を握っているのかが明らかな時間帯が続くというわかりやすい展開だったと思います。

先に主導権を握ったのは名古屋。闘莉王選手が攻め上がり、クロスにヘディングで合わせますが、湘南GKアレックス・サンターナ選手のファインセーブでゴールなりません。すると今度は湘南が攻め返し、梶川選手のプレーからチャンスを作りますが、こちらもGK楢崎選手の安定したプレーで得点を生み出せませんでした。

後半に入ると名古屋がペースを上げて主導権を奪い返します。中盤を厚くして支配力を高めると、62分、63分と決定機をつくりますが、またしてもGKアレックス・サンターナ選手が立ちふさがりました。ところが、73分、一瞬目を離した隙にペナルティエリアで小川選手をフリーにしてしまい、そこにケネディ選手のヘディングパスがピタリと合います。ボールに触った小川選手にGKアレックス・サンターナ選手が激しくチャージし、これが過剰な力でのファウルと取られPKとなりました。

このPKをケネディ選手がゴール左に決めて名古屋が先制します。後半に入り、梶川選手の動きが鈍ったこともあり、いいところがなかった湘南は追い詰められました。さらに名古屋は湘南のミスに乗じて攻め込み、追加点を狙いますが奪えません。名古屋が80分、81分と決定機を逃した後の83分、最後の気力を振り絞って湘南が攻めます。

ペナルティエリアの右で古林選手がボールを持ったとき、名古屋は素早くダブルマークで寄せました。古林選手はクロスのタイミングを失い、一度ボールキープします。それまでの流れから言えば、このボールキープは「遅い」と感じさせるプレーでした。

ここで古林選手はボールを戻しません。そのまま自力で突破にかかります。そして抜ききったかどうか微妙なうちにクロスを上げました。ペナルティエリア中央で待っていたのは大野選手。「遅い」というのと「微妙」という間に合わせられたのは攻め上がっていたこのDFだけでした。さすがに楢崎選手も救うことができず、ついに湘南が同点に追いつきます。

名古屋は慌てて攻勢に出ます。アディショナルタイムの小川選手のシュートはGKの正面。ケネディ選手のシュートはポストを直撃しました。追い上げムードが高まってきたところで残念なことが起きます。湘南がはね返したボールを名古屋が拾い、クロスを上げようとしたときに笛が鳴りました。レフェリーは湘南ゴール前での小競り合いを見逃しませんでした。肘打ちをしたとして闘莉王選手が一発退場。これで名古屋の反撃ムードは一気に失われ、試合はそのまま引き分けに終わりました。

最後のモヤモヤした終わりかたが残念でしたが、好ゲームでした。湘南の最後まで前を向く姿勢が勝ち点1をもたらしたのでしょう。名古屋はストイコビッチ監督の退任がこの時点で発表されるという、もう次をにらんだ戦いになっています。今季のうちから来季を見据えて動いているというのも、経験豊富な久米チーム統括本部長兼GMらしいのではないでしょうか。

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