FC東京vs鳥栖 これっていつ以来でしたっけ?

お互いに重心が後ろにかかったような前半は、FC東京が優勢に試合を進めるものの丁寧なパス回しがたたって鳥栖に守備網をきちんと作られ、決定的なフィニッシュには至りません。鳥栖もずっと攻められずにいたのですが、40分、左サイドで金民友選手がじっくりクロスを狙う得意の形から、中央の豊田選手がヘディングで合わせゴールを奪います。

畳みかけるように41分、早坂選手がドリブルで相手を引き付け、後ろを回った池田選手へ。池田選手はカットインし、フェイントで相手をかわすと落ち着いて逆サイドに蹴り込みました。「あれ以外仕事ができなくて申し訳なかった」と池田選手は試合後反省しきりでしたが、このシュートの落ち着きは日本人ではないようでした。

でも、この鳥栖が先に2ゴールするというのは去年と同じ。そのときは終了間際に立て続けに渡邉選手に決められ2-3で鳥栖が敗れています。

62分、FC東京はルーカス選手と平山選手を同時投入し、一気に流れを変えてきました。平山選手は2011年の初戦でも途中交代ででてくると流れを作った選手です。

じわじわとFC東京が鳥栖のゴールを脅かします。鳥栖はボールを持ってもなかなか前にパスが出せません。試合後、水沼選手に聞いたら「FWが疲れているのがわかって、後ろで回しながら休む時間を作ってあげたかった」ということでした。ですが、そのことで余計にFC東京の前に出る力を引き出してしまいます。特に目立ったのは太田選手。左からのよく考えられたプレーで鳥栖を混乱させていました。

81分、苦手の平山選手に決められてしまいます。さらに84分、これまた苦手の渡邉選手にもミドルシュートを決められ、とうとう同点とされました。

こうなると流れはFC東京ペース。鳥栖はここで5バックにして守るのか……と思っていた矢先の85分、水沼選手が仕掛けました。ですがしっかり対応されてコーナー付近に押し出されます。そこでわずかなスペースを見つけて中央に送ると、「ドドド」という音が似合いそうな勢いで豊田選手が突っ込み、GKと縺れますが、2人の間を行き来したボールがゴールに飛び込みました。

水沼選手はこの週の月曜日、プロになって以来ずっと応援し続けてくれていたファンの方がなくなり、そのぶん気合いが入っていました。「ゴールを取ることはできなかったけれど、直後の試合でアシストという形にすることが出来てホッとしています」と試合後に語ってくれました。

鳥栖にとって勝利の大きな要素だったと思うのは、GK林選手の加入です。プロのGK3人がいなくなっているということもありますが、単に加入しただけではなく、守備ラインへの高さを加えてくれました。あの大きさでゴール前にいたら、確かにハイボールを上げる気にはならなくなるでしょう。キックにはまだ改善の余地があると思いますが、飛びすぎるのも好調の証。これはいい選手が来てくれました。

他にも守備については仙台戦の後に監督とチームとで話し合いがあり、いくつかの決まり事ができたようです。とにかく失点を減らさないと、鳥栖の残留への道は閉ざされてしまうでしょうから。

日本代表になったことで、この日も豊田選手が多くのメディアに囲まれていました。柏戦の後の囲み取材のときもそうだったのですが、この日も豊田選手は味方選手のことを気遣ったコメントを出していました。また、「マークした選手に勝った」と聞かれると、「相手選手のことを語るつもりはない」とぴしゃりとはねつけていました。こういうのは日本代表にふさわしい態度だと思います。

さて、FC東京ホームで鳥栖が勝ったのはずいぶん久しく見ていなかったような——と思ったら、1999年に竹本選手のゴールで勝って以来です。鳥栖の14年ぶりの快挙でした。

 

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