【東アジアカップの旅15】試合を取り巻く出来事について
ピッチの上に出てくることを深く掘り下げていくのが僕の職業だと思っています。ですが、ピッチの周りにあることを無視して、ピッチの上が成り立つとも思えません。
ですので、今日起きたことで、僕が見たことを書いておきます。
試合前、日本の観客の席と韓国の人の席はゾーニングされていませんでした。最初に日本のファンが集まっていたところの前には、赤いレインコートやシャツを着た人、赤い風船を持った人たちもいました。両者入り乱れて試合を見られるほど、日韓戦は穏やかな雰囲気ではまだないだろうと思っています。
しばらくすると、韓国の人たちが日本のブロックから出て行き始めました。ですが、日本の観客のすぐ隣に座って応援を始めています。監視する係員の姿も双眼鏡では見つけることができませんでした。
韓国の観客席に巨大なハングルのバナーが掲出されました。試合前には、2人の人物を描いたバナーも登場しました。不勉強のため、ハングルも読めず、人物が誰かもよくわかりませんでした。
ハングルのバナーが前半途中に一度引き上げられます。ですがまた掲出されています。
ハーフタイムにバナーが「歴史を忘れた民族に未来はない」という意味だと友人から教えてもらいました。そこに韓国のメディアの人が来て、バナーについてどう思うか聞かれました。彼自身は非常に恐縮しているように見えました。
韓国のメディアの人に私が言ったこと。
・スポーツが政治の影響を受けてはいけない。
・バナーを見て、ロンドン五輪で学ばなかったのかとがっかりした。
・2002年ワールドカップを共催して雰囲気が良くなったのに、再び緊張感が走るようになって残念だ。
・もっとも20年ぐらい前までは日韓戦で殴り合いもあった。
・それに比べると良くなったのだから、今後もっとよくなってほしい。
ハーフタイムに再びバナーが撤去されます。今度はそのまま見えなくなりました。それと同時に、バナーの付近の人たちが応援を止めました。
そして日本が2-1で勝ちました。洪明甫監督は、それまでの2試合では丁寧にゲームを作るサッカーを見せていたのですが、この日は放り込みが主体となりました。日本は敢えてスタイルを崩しませんでした。
もし、この試合がホームでなければ、洪明甫監督はここまで勝負に固執したのでしょうか。今はチームを作る段階なのに、なぜ日本相手に試してこなかったのか。ワールドカップでも放り込むのでしょうか。僕には洪明甫監督が1試合、ワールドカップまでの試合数を損したように思えてなりません。