川崎vsC大阪 一朝一夕で変わるものではないのだから
川崎に2004年、関塚監督が就任したとき、川崎は石崎監督が残した完成度の高い3-5-2を採用していました。当初4バックを指向すると言われていた関塚監督でしたが、選手たちを見て3-5-2を継続。そこからあまり選手を代えず次第に4バックへと移行させ、さらにシステムのバリエーションを広げていきました。
風間監督の率いる川崎でも、まだ昔の川崎の香りは残っています。この日の2失点も川崎らしい。GKとDFの間のスペースを狙われてしまいます。DFがもう少し早く帰ってくるか、GKがさらに広い範囲をカバーできるようにしなければ、この問題は解決されないでしょう。
そして得点もあの頃の川崎っぽい匂いがしました。大久保やレナトという強い個性が相手をきりきり舞いさせる。流れるような展開よりも、誰かがボールを持ったとき、それだけで空気が緊張し、期待感が高まる。本来矢島選手もそんなプレーヤーだと思いますが、現在は全力でチームプレーをこなし、他の選手をサポートし続けていて、強烈な個は封印しているように思えます。
昔の川崎だと、0-2から2-2に追いついた時点で劇場モードに入り、終了間際に3点目をとっていたかもしれません。まだ現在のチームにはそんな爆発力はないと思います。
ただ、いい変化も見られます。たとえば大島選手。左サイドでスタートしながら右サイドまで顔を出し、いなくなったポジションの穴を相手に突かれない。中村選手に周りにタイミングよく顔を出し、中村選手が仕事をしやすくなるようにリズムを変化させる。こんなタイプは川崎になかなかいませんでした。あとはこれでFWを追い越すような動きが出たり、シュートがビシッと決まってくれると、最高です。
風間監督はスムーズな移行よりも根本的な改革を行っています。残留争いに巻き込まれなければ、先は見えてくるかもしれません——。