ノジマステラvs清水第八 やるときゃやるよ、女だから。
今回も高野カメラマンから写真をお借りしております。
神奈川県知事を始め、お歴々がいらっしゃる中でのノジマフットボールパークのこけら落とし。試合前に三壁コーチとお会いしたら、「今日は負けるわけにはいけない」といつも以上の緊張感がみなぎっていました。
相手の清水第八は女子サッカー創世記から活動する名門中の名門です。しかも情報があまり入らなかったらしく、菅野監督も選手も相手チームのことに対してはあまりはっきりとした話をなさいませんでした。
慎重になっていたせいでしょうか、あるいは雨の中に集まった観客のみなさんの熱気のせいでしょうか。ともに固さの見える立ち上がりでした。それでも自分たちの練習でも使う、慣れたピッチの感触がノジマステラの選手を落ち着かせたようです。20分過ぎ、清水第八がプレスをかけようとしてきたところを落ち着いたパス回しでかわした後、ノジマステラはプレーが安定してきました。
ノジマステラの最初のきれいなシュートは21分。後藤選手が右からクロスを送り、中央で井上選手が会わせます。このシュートをきっかけにノジマステラのフィニッシュの形ができはじめ、ついに34分、金井選手が河原崎選手を走らせ、その折り返しに井上選手がスライディングで合わせて先制点を奪いました。
このゴールで攻勢を強めたノジマステラは43分、吉見選手のシュートがこぼれるところを井上選手が左足で蹴り込んで追加点を挙げます。
高野カメラマン、今やってる報道を辞めてスポーツやっても売れっ子になれます。
さらに44分、いぶし銀のプレーヤー、DFの吉田選手が吉見選手のCKをヘディングでどんぴしゃりと合わせて3点目。先制点、追加点、だめ押し点を相手が立て直す前に決めたノジマステラが十分なリードを持ってハーフタイムを迎えました。
ハーフタイム、菅野監督が金井選手に何かアドバイスしています。実は去年はハーフタイムにベンチの裏に観客が入ることができたので、どんな指示が出されたのか知ることができました。そしてその指示の的確さと、後半、その指示どおりの動きでゴールを取る選手という場面も何度も見ることができました。残念ながらこの日は聞けなかったのですが……。
58分、こぼれ球を拾った金井選手が角度のないところからゴールを決めます。さらに61分、右から丁寧につないできたボールを金城選手から受けた金井選手が、鋭く切れ込んで左足を一閃。あー、監督がどんなアドバイスを送ったのか聞きたかった。
さらに68分、吉見選手のミドルパスをうまく受けた河原崎選手がカットインし中央の井上選手へ。これもまた井上選手が左足で決めて、井上選手はハットトリックを達成しました。
ノジマステラ、チーム発足以来、ここでは必ず勝たなければいけない、というシチュエーションで必ず勝っています。去年はすべて一発勝負のトーナメントで勝ち残りましたし、今年も開幕戦、こけら落としと大事なところで勝利をものにしています。清水第八が落ち着いて立て直そうとしている時間を逆に使って次々に追加点を挙げた戦いぶりは堂々たるもの。清水第八はほんの少しだけ見せた隙を突かれ、思わず焦ってしまったようでした。
ただ、清水第八の名誉のために書いておきますが、試合中のベンチからの指示はとても正確でした。選手の性格も把握しながらのアドバイスの出し方は、さすがというべきものでした。この日の雰囲気に飲まれてしまったというのが点差になってしまったのだと思います。
ハットトリックの井上選手は攻撃的ポジションでスタートしたぶん、余計に得点の責任を感じていたとのことでした。それで3ゴールって、かっこよすぎてしびれました。
それから選手が異口同音に語っていたのが、負傷でプレーできない3人のチームメイトのこと。このチームは仲の良さで勝ち上がってきたチームなので、その団結力とチームメイトを思いやる気持ちがパワーになったようです。
そしてこの日、特に目立っていたのが山根選手でした。去年は負傷が長引きほとんどプレーできなかったのですが、この日もボランチとして攻守に顔を出していました。本人はミスが多かったと反省しきりでしたが、気の利いたところに顔を出すセンスの良さが清水第八の反撃を抑え、攻撃のリズムを作っていました。
カットして相手を置き去りにし、そのまま攻撃参加。理想的なプレーです。
そしてステキだったのは、
両チームの応援団。エール交換から交流まで、本当に女子サッカーを好きなのだというのが伝わってきます。こちらもナイス・プレーでした。