湘南vs川崎 前に出る湘南と無理に前に出さない川崎
雨なのにBMWスタジアムは素晴らしい緑でした。別のスタジアムなら前半からボールが止まってばかりになっていたでしょう。サイドが滑るものの、BMWスタジアムは大きな水たまりができませんでした。
ですが、それでもボールのバウンドが不自然になったり、選手が足を取られたりして、試合は難しくなってしまいました。単純な放り込みが増えても仕方が無い展開だったと思います。
その中で前に前にとボールを動かしていたのが湘南でした。多少難しくても、とにかく前へ。それが去年から変わらない湘南の姿ですし、この日も湘南のリズムを作る源でした。
川崎は無理にボールを前に出しません。この日のコンディションでもしっかりセットアップして作る技術はさすがですが、ごりごりという迫力には欠けます。時折中盤でのパスミスからボールを奪われましたが、無理をして前に行っていないので守備の人数は揃っており、大きな穴を開けることはありませんでした。
57分、川崎が登里選手の突破から決定機を迎え、最後は登里選手がシュートを放ちますが、川崎から期限付移籍している湘南のGK、安藤選手が足でボールをはじき返しました。試合後、安藤選手は「あれはノボリが『足に当ててやった』と言ってるんですよ」と笑って言っていましたが、仲のいい2人の真剣勝負はぎりぎりの攻防となって試合を盛り上げました。
試合が動いたのは84分。その1分前にもCKからチャンスを作っていた湘南は、ニアサイドで高山選手が合わせてゴールを割ります。川崎はすぐに動いてパトリック選手を投入。点で合わせるのがうまいパトリック選手はその1分後、85分に登里選手からのクロスを合わせて同点としました。
結局試合はこのままタイムアップ。両者痛み分けです。
湘南の多少厳しくても前にボールを付けて攻め上がろうとする姿勢はぶれませんでした。ですが60分以降はさすがに動きが落ちました。ピッチコンディションによるものもあったのでしょうが、去年は90分間持っていたので、J1で相手に動かされ、どうしても疲れが出てくるのだと思います。
川崎は効率的にプレーしているのですが、迫力が今ひとつ。個人技が優れているので、こういう日はもっと個を生かしてプレーしてもいいと思います。大久保選手は「こんなコンディションだから前からプレスをかけて相手にボールを出させず、相手DFラインの裏に落ちるボールで競ればよかったけれど、なかなかそういうボールが出てこなかった」と悔やみ、中村選手からは「この天候の中、見に来てくれた人に申し訳なかった」とお詫びの言葉が最初に出てきました。
どちらも早くリーグ戦で浮上するきっかけがほしいところでしょう。両者が苦しいのだけは間違いありませんでした。