悔しさに拍車を掛ける大混乱
日本サッカー協会は1月末にメディアオフィサーをヨルダンに派遣し、報道対応の準備を進めていました。
本来なら、試合を開催する国のサッカー協会へ取材申請をして、そのサッカー協会が段取りなどを手配します。ですが、日本は記者が多く、その数の報道陣を裁いた経験を持つサッカー協会がアジアには少ないため、日本サッカー協会がとりまとめてくれるのです。
そんな準備の中で日本サッカー協会が指摘して、改善されていたはずのミックスゾーンの長さ、設置場所などは、試合後の大混乱の中で意味をなさなくなりました。選手が出てきているのにゾーンが設置されない。話を聞いている隣で太鼓をたたいて歓喜を表す人たちがいる。子どもたちがやってきて報道陣に向かって喜びを爆発させる。考えられないほどの混乱でした。もし日本が勝っていたら、きっと彼らは意気消沈して段取り通りに進んでいたのだろうと思うと、悔しさが募ります。他にも試合前後にスタジアムで仕事をするための記者控え室もなく、無線LANも飛んでいない。電源の確保も一苦労で、ピッチを見れば固くてでこぼこ。あー、書いていていやになる。そんなところで負けたなんて。
ただ、確かにヨルダンの人たちは気合いが入っていました。キックオフの4時間前からスタジアムに集合し始め、ずっと応援を繰り広げていました。疲れてしまって、キックオフ後はおとなしくなってしまったほどです。ですが、先制点を奪ったことで大声援はボルテージを上げましたし、それがさらに選手を勢いづけました。バックスタンド後ろの場外のフェンスには登って只見をしている観客が鈴なりで、警察が来た一瞬だけは下に降りるものの、警官の姿が見えなくなるとすぐに登り始めて、一緒に応援しています。人としてのバイタリティがあふれていました。
日本が負けたのは、そのバイタリティだったのかもしれません。いつもなら大丈夫なのでしょうが、この日は大きなプレッシャーがかかっているようでした。やっと予選らしくなってきたと言えば、そうなのでしょう。