横浜FMvs湘南 それでも行くのかベルマーレ
横浜FMvs湘南は点の取り合いになり4-2でホームの横浜FMが勝利を収めました。
40分、中村俊輔選手のFKが決まり横浜FMが先制するまでは、開幕戦らしいゲームだったと思います。舞台の初日のような、微妙に堅さが残るプレーぶりを両チームは見せていました。アタッキング・サードに入る少し手前でノッキングし、うまく崩せません。ところが中村選手のゴールが決まった後に、試合は一気に動きます。
動き始めたきっかけは湘南にあった思います。先制されたことで吹っ切れたというか、それまで横浜FMの個人技を恐れて去年ほどのプレスを見せられなかった湘南が、どんどん前に出るようになりました。そこでキリノ選手が41分、思い切りのいいミドルシュートで同点にし、61分には逆転しました。2点目の中澤祐二選手を抜いた後のドリブルのコース取りのうまさは、お見事です。
横浜FMをそのまま沈ませなかったのは、逆転ゴールの2分前に交代出場していた齋藤選手でした。出場したばかりの時間はマルキーニョス選手に自分の近くにいるよう指示を出されていましたが、64分に藤田祥史選手が投入されて左サイドに移り、ドリブルがより生きるようになってきました。
74分、藤田選手がロブを胸で柔らかく受け止め、左サイドの齋藤選手へ。齋藤選手が折り返してマルキーニョス選手が決めて同点です。
僕はこの時点で湘南が守備固めをしてくるのではないかと想像しました。攻撃はうまく行きかけているものの、そのぶん守備には不安があったからです。ですが、曺貴裁監督はそのまま攻撃を続行させます。
すると83分、齋藤選手がカットインしながら右足のアウトサイドでマルキーニョス選手にパスを出します。 そのボールがこぼれたところに走り込んだ齋藤選手が持ち出すと、ためらわずに左足を振り抜き、ついに逆転しました。
その直後、曺貴裁監督は守備ラインを修正します。そしてその2分後、攻撃陣を変え、またも攻撃に出ました。
流れは明らかに横浜FMにありました。もしここでもう一度攻めに出たら点差を広げられるかもしれないという状況だったと思います。それでも湘南は前に出ました。それが曺貴裁ベルマーレらしいところであり、それでJ1昇格を成し遂げたのだと僕は思っています。
この日の賭けは失敗に終わりました。後半アディショナルタイムに横浜FMが速攻をかけ、PKを得て湘南を突き放しました。
ですが、もしここで湘南がこれまでの自分たちの戦い方を放棄していたら、きっとたちまちチームは崩れていただろうと思います。そのためには仕方なかったかもしれません。こういう方法論で勝ち進んできたのですから、そこを崩すと戻るべき場所がなくなりますから。問題はシーズンのはやいうちに勝てるかどうかになってきたと思います。
ところで、4点目の起点となったのはまたも齋藤選手でした。ユースのころから含めて、齋藤選手は湘南に対して、あるいは曺貴裁監督に対して相性がいいようです。