千葉vs鳥栖を鳥栖目線で
19時、フクアリにて開催された千葉vs鳥栖を取材してきました。昇格圏入りを争う両チームの戦いということで熱戦が期待されたわけですが、確かに劇的な展開となりました。
鳥栖は試合開始直後からリトリートして、千葉のロングボールに備えます。そして千葉をおびき出し、裏を狙おうとしました。実際狙いは的中し、15分、豊田が抜け出しシュートを放ちますがゴールを捉えられません。また鳥栖は積極的にミドルシュートを放っていました。このミドルシュートは試合前にピッチに散水が何度か行われていたのを見ていたのでしょう。滑りやすくなったピッチを利用しようとして、高さを抑えたボールが多くなっていました。
ですが、次第に集中力が切れ始めます。ボールを持ったときの判断が遅くなり、スムーズにパスが通らなくなってしまいました。さらに中盤でパスをつなごうとすると、読みのいい佐藤選手にカットされ続けます。
鳥栖の運動量の低回が目立ち始めた37分、FKから先制を許しました。クロスのクリアが小さく転がるところを待っていた深井選手がきれいに蹴り込んで0-1とされてしまいます。さらに悪いことに、この失点はさらに選手の疲労に拍車をかけてしまったかのように足が止まってしまいました。そして40分、再びクリアボールを深井選手に決められて0-2。ちなみに深井選手は「攻撃も守備も監督からは多くの指示をされていない」ということで、この両方のこぼれ球への詰め方は個人の戦術眼によるものでした。
これでやっと鳥栖は目を覚まします。再度攻め込み、ゴール正面約25メートルの位置でFKを獲得しました。蹴るのは木谷選手。「壁を越えればどうにかなります」と振り返っていたとおり、ハーフスピードでコースを狙って見事にネットを揺らしました。ただ、プロのGKは「置きにいった」、つまりコースだけを狙ったシュートなら普通は防ぎます。本当はそこに駆け引きがあったのでしょうが、残念ながら木谷選手からは教えてもらえませんでした。企業秘密だから仕方がないか。
さて、前半終了間際に1点を返して後半に勝負をかけたい鳥栖でしたが、後半も先手を取ったのは千葉でした。ボールを動かして鳥栖を細かく揺さぶり続けます。もしゲームだったら鳥栖のHPゲージがぐんぐん下がっていったでしょう。そして56分、2度のクリアミスをゲッセル選手に叩き込まれて3-1。千葉が鳥栖の3度目のアシストを受けて、また2点のリードを奪いました。
ところが、ここで千葉が焦ってしまいました。それまで中盤で佐藤選手が前後の動きで鳥栖の中盤を攪乱していたのに、次々に縦にボールを蹴り込み始めます。これで鳥栖は楽になりました。落ち着きを取り戻し、攻め戻します。鳥栖のプレッシャーに千葉は後手に回り始めました。
そして68分、うまく抜け出した豊田選手のシュートがこぼれるところを國吉選手が詰めて1点差。千葉は余計に混乱します。そしてトドメは90分。CKからこぼれるところを國吉選手がシュート。これが呂選手に当たってコースが変わり、ゴールの中に転がっていきました。鳥栖、土壇場で3-3です。
鳥栖は東京V戦に比べると、足は動かない、パスは回らないという出来で、本来の良さを出すことができませんでした。ですが、もう終盤戦に入り、こういう戦いぶりでも必要なのは勝ち点。その意味ではよくやったと言えるでしょう。
勝ち点2を失った千葉の選手は一様に暗い表情でした。勝ち点1をもぎ取った鳥栖の選手はホッとした顔でバスに乗り込みました。この両者の決着は10月26日(水)、第7節で着くはずです。