祭りの後の虚しさよ
3月から開催され、震災の影響で一度は中止の可能性もあったダノンネーションズカップ2011。9月4日に川崎フロンターレU-12が見事4連覇を達成して終了しました。
実は3日、最後のセレモニーのリハーサルに付き合ってみました。リハーサルが始まったのが19時。終了が22時。この3時間の間に、ほぼセレモニーのオープニングだけの打ち合わせが続きました。
よく考えると、そのわずか20秒にも満たない場面に対してそれだけの準備をしているということは、大会全体で考えるととてつもない時間が、選手たちがいない場で費やされていたのだと思います。当日は何もなく過ぎていきましたが、それは大会実行委員長を初めとするスタッフのみなさんが、手間を惜しまず、妥協せずに取り組んだからでしょう。
で、この方がその実行委員長の安彦さん。
大会期間中とは打って変わって穏やかな、というか、ちょっと安心した顔でした。どの予選大会のときも安彦委員長が最初のスピーチでおっしゃっていた、「努力には見える努力と見えない努力がある。選手は見える努力をしているけれど、選手のために水を運んだり荷物を持ったりと働いてくれている人の見えない努力もわかりましょう」という台詞は、実はスタッフたちに一番当てはまったのかもしれません。
大震災の後、大会がどうなるかわからなかったときに事務局に東北のチームから電話があったそうです。「家もグラウンドも、みんななくなったけれど、サッカーだけはなくさないでください」という訴えだったとか。その話を事務局から聞いた安彦委員長はすぐダノンを訪れ、そこから大会の再開が決まったということでした。
ところが大会をしようにも関東では空いているグラウンドがなく、そこでも頓挫しかけたという話です。そこに横浜F・マリノスがすぐ手をさしのべてくれて、それで無事日本代表を選ぶことができました。
大阪、愛知、神奈川、そして決勝大会と、実は毎回雨にたたられたのですが、大阪ではほとんどの試合が晴れた中で開催でき、愛知では終わった途端に豪雨になり、決勝大会は台風で前日開催が決定するという状況ながら、ほぼ雨には降られませんでした。これってきっと子どもたちの願いが雲を吹き飛ばしたのだと思います。
何人かの指導者の方や子どもたちと話をしたのですが、もっといろいろお話を聞いて、勉強させていただきたかったのに残念です。来年の開催が本当に待ち遠しい。次はどんなドラマが待っているのでしょうか。