2011アジアカップの旅35 国際問題的やってしまった&考えさせられました その1

イランvs北朝鮮の取材を終えてメインメディアセンターに戻ってきたとき、ゲートの前で子どもと大人が入り乱れてサッカーをしています。どうやら大人は大会の係員のよう。見ていたら「入りなよ」と言われて早速参加しました。と言っても、台形のスペースのピッチに人工芝、ゴールは荷物を置いてコーンの代用です。

子ども5人も混じっているのに結構ガチガチやります。 ぶつかり合いも激しくて顔に肘が入りました。コノヤロー。ってちょっとマジメにプレー。でもどうやら大人はみんな、あまりサッカーをしたことがないのか、ボールが足につきません。ふぅ、意地にならずにすんだっと。

時間が来たら急にスタッフたちはゲートに向かいました。ミーティングのようです。子どもたちも帰る時間になったようで、遠くで見ていた女性、たぶんお母さんたち3人がやってきました。

そこでお母さんたちに聞いて、彼らの写真を撮ることにしました。カメラを構えると女性はさっとレンズの前から消えます。そしてそこから子どもたちに何か指示を出しています。フラッシュがたかれると、子どもたちはすぐに集まってきて、露出が悪いからもう一枚撮れと言います。な、なにを~。で撮り直した写真がこれ。
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どの地に行ってもそこの子どもたちとボールを蹴ると、世界って変わらないなぁと実感できます。

さて、写真を撮りおわってメディアセンターに行こうとしていたら、子どもがボールを持ってきました。
「これ、あげるよ」
「え? いや、もらえないよ」
「いいよ、あげるよ。僕同じのを3つ持ってるから」
お母さんだと思われる女性3人もやってきました。
「ギフトです。もらってください」
「いや、子どもたちの宝物をもらえませんよ」
「いいんですよ。もらってください」
そういうと、みんなスタスタと駐車場の方に歩いて行ってしまいました。子どもは時々こっちを見て手を振っています。僕も手を振り見送りました。 

彼らからもらったボールはこれ。
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ちょっと色は変色しているけど、2010年ワールドカップの公式球、ジャブラニです。しかも張りボールの高級そうなもの。日本では1万7000円ぐらいしていたと思います。おいおい、これ3つ持ってるって……。

とまぁ、ここで終われば地元の人たちとの交流ってことで話が終わるのですが、ここからがちょっと大変なことに。

ミーティングを終えたのであろうスタッフが戻ってきました。
「そのボールはどうしたの?」
「あの子たちがくれたんだ」
「さっき遊んでいたあの子たち?」
「そう、宝物はいらないって言ったんだけど、ギフトだって」
「もらったのか?」
「そう、もらったんだよ」
それを聞いた1人が、ちょっといぶかしげにこっちを見ました。そして別のスタッフに何か言っています。別のスタッフは首を振っていました。さらにもう1人スタッフが現れ、いきなりボールを掴むと、子どもとお母さんのほうへ走り出していきました。

完全に疑われています。スタッフの1人は僕をずっと監視しています。

やばい、これでもし、あの子たちが何か変なことを言ったら、完全に泥棒扱いされるのは間違いありません。もらったと言っても証拠はないし、僕の言い分を信じてもらうにはどうすればいいか——。

走っていったスタッフはちんたら戻ってきました。そしてボールを投げてよこし、言います。
「これはギフトだってさ。そうだ、いいかカタールからのギフトだよ」
「いいや、これはあの子たちからのギフトだ。あんたを含むカタールからじゃない」

かなり頭に来たから言い返しました。

もう1人、最初に疑い始めたスタッフがやってきて「鞄を忘れるなよ」と白々しく言ってきます。
「お前はオレがボールを取ったと思ったな」
「いや、確認しようと思ったんだ」
「オレはお前に3回、もらったと言ったよな」
「いや、むにゃむにゃむにゃ」
本当に頭に来ていたから、もう彼を無視してゲートに歩き始めました。ぷんぷん。

でも、まぁよく考えると、僕がこのクラスのボールを買えるわけがないって、どうしてわかったのだろう。うーん、悩むなぁ。ともかく、犯罪歴にならなくてホッ。

さてさて、帰り道、このボールを持って日本に帰るのに空気を抜こうと思って、スポーツ用品店で空気入れの先を買いました。「3リアル」と言われて、店主が出してきたのが、
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ジャーン、ミカサ製。おお、品質安心できそうです。

 

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