2011アジアカップの旅13 中国勝利で失ったものと得たもの
昨日、クウェートの応援団と一緒になったとき、彼らは張り切っていました。直前のガルフカップで優勝し、次いでこの大会も、という意気込みに満ちあふれていました。
試合前の中国代表はリラックスしていて、最初にピッチを確認するために出てきたときは仲間同士で写真を撮ったり、なぜかピッチサイドまで行っていた中国メディアの人たちと話したり、という様子でした。
対してクウェートは先に練習場に現れ、どんどんピッチを上げて試合開始早々から攻め込めるように心肺機能を上げているように思えました。
ところがクウェートが攻め込むと、みんな戸惑いを隠せません。体格のいい中国との接触プレーに集中力をそがれてしまいます。前半すぐに訪れたPKかと思われたシーンも流され、いらいらが募っていきました。
そこで運命を分ける退場シーンが生まれます。最初に触ったのはクウェートの選手。そこに中国の選手が強引に体を入れもつれて倒れます。倒れた時点で中国のファウルだったのですが、倒れたまま中国の選手は足を伸ばしボールに触ろうとしてクウェート選手を蹴ります。それに反応したクウェートの選手も足を伸ばして中国の選手の腹を蹴り、退場となってしまいました。
それでもクウェートの最初の失点は不運で、シュートがクウェートの選手にあたって入ってしまいました。2点目こそ見事なFKを決められたものでしたが、クウェートは1人少ない状況に対応するため、ワントップを交代させていたので攻撃の手が少なくなっていたのも否めません。
ともかく、中東の大会なのに初日も2日目も中東のチームが敗退するという、去年のワールドカップでアフリカ勢の調子が悪かったことを思い起こさせます。世界のトレンドってことかも。
さて試合終了後、スタジアムからメインメディアセンターへのバスに飛び乗ると、そこにはアラブ系の人しかいませんでした。いつものように、みんなに挨拶しようかと思ったのですが、どうも雰囲気が違います。
しまった~。きっと彼らはクウェート人か、あるいはアラブの勝利を願っていた人たちなのでしょう。みんなで落ち込んでいたところに中国人ぽい僕が飛び込んできたので、場が緊張してしまったようです。おい、僕は日本人だよ~といいたいところですが、こちらもクウェート人と他の国の人たちと見分けがつかないので、大きなことは言えません。
困ったなぁ、ととにかくその場は大人しくしてやり過ごすことにしました。
さて、今度はメインメディアセンターからメディアホテルに帰るバスでの話。ニコニコと中国メディアが乗ってきました。
これまで同じメディアバスに乗っていても、なかなか中国メディアの人と会話することはありませんでした。彼らはこちらを見ようともしてくれません。僕の思い過ごしだったのかもしれませんが。
ですが、この日は本当にうれしかったのでしょう。1人がこちらを見てにこりとしました。僕も「コングラチュレーションズ」と声をかけました。するとその声を聞いた他の中国メディアもこちらを見て笑みを浮かべてくれました。
そしてバスを降りてから名刺交換。もしかしたら、これからも連絡を取り合えるかもしれません。メディアの友だちの空白地帯がちょっと埋まりました。