2011アジアカップの旅11 開幕戦・カタールvsウズベキスタン
無事記者席のチケットを手に入れて、いざ席に行ってみると係員が「自由席です。どこに座ってもいいよ」と最近の国際試合には珍しい指示がありました。ところが座っていると、どこかのメディアの人が来て、すぐに係員を呼んでこちらを見ながら文句を言っています。なんか雰囲気悪いなぁ。
係員は申し訳なさそうに「すみません、席を移ってくださいませんか」と言ってきました。「前から7列は大きなメディア用なんです」。
そんなのどこにも書いてないよ!! と言おうと思いましたが、開幕戦にこういうトラブルは付きものです。先は長い、というか大会は今日からだし、仕方がないから引いておこう。チクショー。
とまぁ、そんな僕の気持ちを一気に変えてくれたのはオープニングセレモニーでした。
花火大会って、一番最後にものすごい数の花火が打ち上げられますよね。それまでヒュー、ドーン。なのが、ヒュ・ドン、ヒュ・ドンとかドン、ドン、ドンという感じで。その最後の乱れ打ちの感覚がさらに短くなって、ドドドドドという花火の音がずっと続いたセレモニーでした。炎もどんどん上がって、まるで油田みたい。あ、油田でこんなに火花が上がるとヤバイですね。
そんな勢いがあればよかったのでしょうが、カタール代表チームはあと一歩を詰め切れず、開幕戦を0-2で落としてしまいました。
試合が始まるとカタールは右SBと右MFを高めの位置に置きました。そのために4人の守備ラインが全体的に右サイドを意識しながらポジションを取ります。だけどこの配置をウズベキスタンは巧みに突きます。左SBとCBの間のギャップからカタールの左サイドを崩し、最後はカタール右SBの後ろに飛び出したウズベキスタン左MFが何度も決定機をつくりました。
ところがこの左MFにまるでツキが無く、何度も外してしまいます。チャンスを逃し続けると相手のペースになる——というのがサッカーの経験則と言えるのでしょうが、カタールはなかなかチャンスを作れません。
プレーが固い、緊張感が見えるというのはありました。だけど、時折見せるここの選手の高い技術は、チームプレーの中で発揮されません。縦を意識するあまり、相手を引き付けたり、攻撃の方向を変えて相手の的を絞らせたりということがありませんでした。
そのうちにウズベキスタンのロングシュートが決まり、焦るうちに横パスを奪われて2点目を失い、カタールは敗れてしまいました。
もっとも、ワールドカップ予選で戦ったウズベキスタンが強敵でしたし、焦って前に出るとやられるというのを日本は経験済みです。そのイメージどおりだったと思います。「普通にうまいチーム」ってことですね。
試合前、王族が来るからと何度も国歌の練習をしていた観客でしたが、なかなか試合中は盛り上がる機会が無く、1点を失うとゾロゾロと席を立ち、2失点目ではかなりの数がスタジアムから消えてしまいました。
試合後、仲良くなったサウジアラビアのスポーツ記者が「カタールのメツ監督が解任された」と情報を集めていました。いろいろ調べてみましたが、まだそんな発表はないので、もしかしたらガセネタかもしれません。
大会期間中って、こんな微妙なネタが出回り続けます。一瞬早く確認が取れればスクープ。確認を取った後に事態が変化したら飛ばし記事。相手が外国の人だと表情もどう読めばいいか普段と違い、なかなかストレスは溜まります。