横浜FCvs鳥栖 試合取材
試合前、岸野監督に聞きました。
「開幕前から、この5月22日の試合が来たら、すごく感じるものがあるだろうとか、どんな気持ちがするのだろうとか、いろいろ考えていましたけど、実際はまったくないんですよ。今はどんな相手に対してでも勝点がほしい。鳥栖だから勝ちたいとか、そんなことを考えている暇がないんです。とにかく勝点がほしい」
で、始まった試合では去年、ほぼコストなしで大分から鳥栖にレンタルされていたホベルト選手が大活躍しました。1点目はホベルト選手がこの試合で初めて前を向いて攻撃的な場所に現れて、そこからのパスで決定機を演出しました。それから去年まで鳥栖にいた高地選手が1ゴール3アシストと大爆発したのも横浜FCの対象の原因になったと思います。まるで鳥栖は岸野監督や他の選手たちの退職金を今回払ったかのような大盤振る舞いで、前半だけで4点を献上します。
決定的と思える3点目を失ったとき、オフサイドではないかとユンコーチがコーンを蹴って退席処分に。さらに鳥栖は後半2枚目の警告や一発退場で2人の選手を失います。
ですが、僕には鳥栖の進歩も感じられる試合でもありました。柏vs鳥栖、鳥栖は0-2で負け、しかも首位を独走する柏相手に対してと考えると、この横浜FC戦に比べ数字的にはいいのかもしれません。
ですが、柏との実力差を考え、またリーグ戦という順位決定方式も十分に頭に入れておく必要があると思います。
柏と鳥栖との実力差があるにしても、あのときはフランサ選手がおらず、負けるにしても最少失点で切り抜けたい試合でした。ところが試合のフィニッシュに入ったところで追加点を奪われてしまいます。負けるにしても0-1でよかった試合を、そのまま終えることが出来ませんでした。
ところが横浜FC戦は、0-4で迎えた後半、ユンコーチもいなくなっており、選手も次々に退場という状況で追加点を許しませんでした。特に9人になってからは選手のポジショニングが非常に改善され、柏戦の時のようなバタバタした感じはありませんでした。逆に言えば、そこで攻撃の手をゆるめてしまった横浜FCに対して、疑問の念が湧いてきたくらいです。
僕は当然未来を見渡せないですし(だから、こうしていればこうなった、という論は張れません)、結果からしか原因を導き出すことが出来ないのですが、もし今後鳥栖の守備が改善されたら、この試合の後半の影響はあるのではないかと思います。そしてもし、10月の鳥栖vs横浜FCが今回と大きく違うようになれば、この試合の後半、横浜FCが鳥栖の守備への自信をつけさせてしまったことが関係するかもしれません。
後半、ピッチに現れた赤星選手が鳥栖のサポーターを一生懸命煽っていたのが、まだ諦めていないという気持ちの一番の現れだったと思います。
ともあれ、鳥栖は2人の退場選手の代わりを早急に鍛えなければいけません。選手との契約方法が変わり、今年から鳥栖も1人を除いて自前の選手になりました。となると、そこにどんどん比重をかけなければ。それから、今後横浜FCと対戦するチームは、ホベルト選手から大黒選手という必殺のパターンに十分に注意を払う必要が出てきたと思います。