すでに顕在化してきたJ2の危機

昨日、とあるJ2の強化担当者と話をしました。その方はこれまで数多くの修羅場を経験してきた強者なのですが、来年の話に話題が及ぶと一気に話のトーンが落ちてしまいました。

一番の原因は、J2の試合数です。18チームが3回戦で戦った今年の1チームあたりの試合数は51。ホームゲームは26試合または25試合でした(別の話題になりますが、昇格をぎりぎりのラインで争っていた湘南のホームゲームが26試合、甲府は25試合だったのは不公平と言えるでしょう)。ですが、来年は1チーム昇格してきたため、19チームの2回戦総当たりとなります。つまりホームゲームはそれぞれのチームとも18試合、今年より7試合または8試合減るのです。

試合数が減る分を一部のクラブはナビスコカップで補いたいと考え、Jリーグの中で話し合いがあったようです。ですが認められませんでした。かつてJ2クラブは昇格レースを優先し、ナビスコカップを軽んじていたクラブがあったことを考えると、仕方がないかもしれません。

試合数が減れば当然クラブの収入も減ります。必然的に強化費も削られます。抱えている選手も減らさなければなりません。しかも移籍のルールが変わり、移籍金なしで選手が移動できるため、できれば今いる選手は複数年契約を結びたい。となると、将来を見越して財源を確保しておくため、ますます選手を絞り込んでおいたほうがよくなります。

実際に私が聞いた来年のスタート選手数は26人程度でした。GKを4人とするとフィールドプレーヤーが22人。けが人が3人出れば紅白戦ができません。

昇格したいチームは無理をするでしょう。それで実際に昇格できたとして、はたしてこれまでほど資金が集まるか。現在の経済情勢ではかなり厳しいといえるのではないでしょうか。

大きなスポンサーを持たないJ2のクラブにとって、来年は本当に厳しいかじ取りが予想されます。もしかしたら来年起こりうる最悪のシナリオは、昇格できそうな圏内に入って無理をして、そこから財政破綻が始まることなのかもしれません。昇格と降格と立場は違うにせよ、今年大分が経験したシナリオが来年はいくつかのJ2クラブで起こりうるのです。

そしてJリーグ自身も現在彼らの力で救えるのはJ1クラブまででしかないということを、J1の大分に資金援助したものの、J2の東京Vに対してはできなかったことで示したといえるのです。 

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