柏vs鳥栖 鳥栖の薄氷の勝利を可能にしたのは
レアンドロという大黒柱を失った柏は、スタイルをどう変化させるのか。失点数がワースト2という、これまでからは信じられない状態でファーストステージを終えた鳥栖は、はたして立て直せるのか。
など、せっかくセカンドステージが始まるので、Jリーグはもっといろいろプロモーションをしてよかったのではないでしょうか。しずかにセカンドステージが始まった気がします。
この日、鳥栖のサポーター席に顔を出したら、知り合いからこんなうれしいものをいただきました。
おいしかったよ~!!
さて、試合は前半、柏にアクシデントが続きます。17分、鈴木大輔が負傷交代。さらに31分にはGK菅野孝憲がこれまた負傷交代します。菅野は交代出場する桐畑和繁のアップの時間を稼ぐためでしょう。担架に乗らず、ベンチに向かって歩いて行きました。これには隣に座っていた鳥栖の永井強化部長も、「大丈夫だろうか」と心配していました。今日の対戦相手とは言え、同じサッカーの仲間。心を痛めているようでした。
柏の混乱もあったのでしょう。鳥栖は23分、東アジアカップ予備メンバーに選ばれた藤田直之のCKに金民友がフリーで合わせて先制点。さらに柏のミスパスをカットして、鎌田大地から水沼宏太につないで24分に追加点。さらに38分、今度も鎌田大地から豊田陽平にパスが通って3点目を挙げ、前半をリードします。
ですがさすがにこれで終わるわけがなく、56分、クリスティアーノがFKを直接決めて柏が1点を返します。鳥栖の壁に入った選手がキックの瞬間に体を斜めに向けてしまい、そこの間を通されるという技術的なミスでした。
さらに89分、高橋義希がハイボールの処理で手に当ててしまい、PKを取られます。鳥栖としては、それまでの柏のハンドをいくつか見過ごされたという気があったのでしょう。猛烈に抗議しますが受け入れられるはずもなく、これをクリスティアーノ選手が決めて1点差。
去年までの鳥栖なら、残り15分で鎌田を下げ、キムミンヒョクを入れて5-4-1にして凌ぎきったでしょう。ですが今年の指向はそうではありません。
86分、左SBの金民友を下げてキムミンヒョクを投入。確かに鳥栖の左サイドを攻略されていたので、そこを防ぎたかったのだと思います。ですが、それでも柏の攻勢は収まりません。
そこで最終ラインに大声をかけ、左サイドSBとしてスペースを消したのが水沼でした。そこから全員の奮闘もあり、鳥栖は逃げ切ったと言えるでしょう。 ですが、監督の指示を待つまでに自分たちで修正し、逃げ切りの体制を整えられたというのが鳥栖の勝因です。
サッカーは監督の言うとおりだけにプレーしていてはいけない。監督の言わないことをどれくらいできるかが大切だ、と教えられたことがあります。まさにそのとおりでした。指示待ちでは少なくとも同点にはされたでしょう。
試合後、監督は水沼選手に「よくやった」と言ってくれたそうです。貴重な2点目もそうでしたが、この水沼の怒鳴るように声をかけ、ラインを整えたのがこの日の最高のプレーだと思います。
試合終了後、豊田選手はホイッスルを聞くとドサッとピッチに倒れました。前線から必死で追いかけ続けたからでしょう。ミックスゾーンでは「ナイスプレー」と声を掛けると、珍しくニッコリという笑顔を返してくれました。
藤田選手は、昇格初年度の清水戦で、試合後に澤登正朗さんから「頑張れば代表委は入れる」と言われたことを覚えているそうです。予備登録メンバー入りしたのであと一歩。今後の活躍が期待されます。
高橋選手はホッとしていました。 そりゃあれだけ走り回って見方をカバーしていながら、責任を問われるようなことになったらショックでしょうから、よかったと思います。ターンからのサイドチェンジという新しいツールも見ました。
さて、この日の鎌田選手。相手のミスから2つのチャンスに絡みました。どちらのパスも見事なタイミングで能力の高さは見せられたと思います。体力も先発から後半20分ぐらいまでは続くようになっていました。
ただ、まだアプローチが弱くて途中で止まったり、パスをもらう動きが小さくてマーカーをはがしておらず、パスを出そうとする選手をためらわせてしまうような場面も目立ちました。一歩ずつ進歩しているのは見えますから、このまま厳しい環境の中で伸びていってほしいと思います。心配なのは、周りが過度に持ち上げたり、重すぎる期待をかけてしまったりということではないでしょうか。