YSCC横浜vs相模原 横浜の必死のやりくりが見え胸の詰まる試合
この人の姿勢には頭が下がります。
佐藤悠介さん。現役時代と同様、独特の空気感を持っています。ただ、現役時代よりは丸くなったかな(笑)。
今日はJ3を勉強に来たとおっしゃっていました。もともとJ2を解説させたらその豊富な経験で微妙な部分まで話をできるのに、それだけで収まらず、J3までしっかり足を運んでいるところが佐藤さんらしいところです。「まずしゃべりを極めたい」ということなので、今後の活躍がますます期待できるはずです。
試合は、いろいろな背景を想像しながら見ていると胸がつまるものでした。攻める相模原に守る横浜という構図が前半続きます。横浜は体を張って必死にボールを追い続けますが、それが精一杯で、それでも0-0で前半を終了しました。
ただ、37分で右SBの渡邉三城が負傷交代したときから、横浜の厳しいやりくりが始まりました。変わって右SBに投入されたのはFW登録の大泉和也。その青田が右MFに入り、右MFの山本真也が右SBに入ります。さらにワントップの郡司健太朗はハーフタイムにMF登録の梅内和磨と交代。
しかも右SBとなった山本も65分、これまたFW登録の青田翔と交代し、青田がそのまま右SBに入りました。
対する相模原は70分、樋口寛規に代えて井上平を投入し、FWのスピードを増します(井上は岐阜での大けがから無事復帰していてホッとしました)。さらに75分、高原直泰をDF登録の大森啓生と交代させ、前線に残しました。
すると77分、カウンターからのボールが大森に通ります。対応するのは青田。GKは一瞬前に出ようかと迷い、足を止めた瞬間に狙われて、横浜はゴールを許してしまいました。
ですが、そこでずるずると終わらないのは、横浜の有馬賢二監督らしいところでした。横浜の必死の反撃は度々チャンスを作り、ついにアディショナルタイム、こぼれ球をうまく合わせた中西規真のゴールがGKのいない相模原ゴールへ……という場面を作ったのですが、ここで相模原が奇跡のクリアを見せ、そのまま相模原が1-0で勝ちました。
全体的に見れば、相模原の強さが目立ちましたが、横浜の選手のやりくりと、選手は与えられた役割を何とかやり遂げようと走り回る様は、それだけで胸を締め付けられるようなものでした。
一方で目についたのは、横浜の選手はボールを持っても落ち着けず、つい簡単に蹴ってしまうこと。もっと落ち着いてパスを回せば楽になるのでしょうが、つい焦ってしまっていました。「勝っていないことで自信を失っている場面がある」と有馬監督が言っているとおりでしょう。
有馬監督がプロ選手になるとき、首に異常が見つかって一度は契約できなかったこと、そこから首にワイヤーを入れて固定し、何とかプロになったこと、その後も体を張ったプレーでケガが続くなか、最後まで怖れず頭から突っ込んでいくようなプレーヤーだったことなども思い出されました。選手でそんな監督の過去を知っている人はどれだけいるのか、わかりません。でも、監督のサッカーにかける思いは確実に伝わっている気がします。