川崎vs山形 石崎監督の帰還
ヤマザキナビスコカップに両チームともメンバーを入れ替えて臨みました。ぎくしゃくしたコンビネーションのせいで、前半はともに見所なし。後半に入って最初にギアを上げた山形が54分、山崎雅人のゴールで先制しますが、川崎がすかさず中村憲剛、大久保嘉人、レナトを投入して巻き返し、64分、エウシーニョがこぼれ球を蹴り込んで同点としました。
この3年、J2から一番下の成績で上がってきたチームは、非常に厳しいシーズンを戦ってきました。最下位が定位置になったり、勝利が遠かったり。ですが、今年の山形はひと味違うようです。そこは百戦錬磨の石崎監督。この日も川崎のアタッカー陣をベンチから引っ張り出し、さらに引き分けで終わったということで選手たちの自信になりそうな試合を見せてくれました。
「最後は人よ。あの3人が出てきたら雰囲気が変わったもん」。いつもながらの自然体で石崎監督は言いますが、彼我の差をいかに埋めるかということと、面白いチームを作るということの両面をバランスよく作る点で本当に優れていると思います。
石崎監督が川崎の指揮官に就任したときは、どちらかというと相手の良さを消す戦術ばかりが目立っていました。ですが川崎を率いる間に、大きくスタイルを変化させ、今は両方がうまくマッチしていると思います。
「金がないから苦労しちょるよ」。そう石崎監督は笑っていました。
確かに、川崎時代みたいに前線にジュニーニョ級がいれば、またサッカーも大きく変わるでしょう。得点を取るのには苦労すると思います。ですが、このまま山形が残留することになれば、そのときやっと初めてJ2から3チーム上げてよかったという話になると思います。