清水vs鳥栖 清水が失っているものは何か
清水が2度先行し、鳥栖が2度追いつくという2-2の試合でした。
試合開始早々から両チームともにミスが多く、ターンオーバーが頻繁に起きるゲームでした。前後のバランスが悪く、中盤が空きがちで選手の距離が遠くなり、そのためにミスパスが出てしまうというのが目立っていました。いかにも連戦の途中の試合という内容だったと思います。
鳥栖は両SBの動きが固く、11分に右サイドを崩され折り返しを決められると、63分には左サイドを崩されてPKを招いてしまいました。このキム・ミンヒョクのハンドとされたブロックは、意図的に手を広げていたようには思えませんでしたから、少々厳しい判定だったと思います。ただ、反則を取られた場合去年まででしたら退場とされていたのですが、去年途中から警告が妥当であると運用が変わったプレーで、鳥栖にとっては助かったかもしれません。
また、ファウルの直後に笛を吹いているので、そのままのボールをピーター・ウタカが合わせたゴールは無効となりました。このPKが決まったからよかったものの、試合後に清水の関係者は「鳥栖のGKが(元清水の)林だったら止められていたかも。清水戦は特に張り切るから」と胸をなで下ろしましたが、決まったことは試合そのものを荒れさせない要因の一つになったかもしれません。もっとも、清水も鳥栖も本来フェアですから、この日も接触があってどちらかが倒れた直後は必ずお互いの選手がタッチするなど、清々しい場面が続いていました。
鳥栖の2得点はともにセットプレーから。43分、CKから豊田陽平が決めたゴールは、それまで必ずダブルマークしていた清水の選手が外してしまったからですが、もしダブルマークしていても防げなかったのではないかと思うくらいの高さと強さがありました。清水にとっては前半終了間際の苦しい時間でしたが、踏ん張ってセットプレーを減らさなければいけなかったのに、簡単に逃げてしまったのが失点に繋がってしまいました。
70分、ゴール正面に近いところのFKでは3人のキッカー、藤田直之、金民友、水沼宏太が何かを話していました。
「今日はキックが凄くいい感触だった。だから自分に行かせてくれと言って、すぐあとの2人が引いてくれました」
そう他の選手を説得して自信満々だった水沼が狙ったのは、壁の上を通って落とすコースではなく、壁の端からゴールのサイドネットに向かう弾道。
「相手も越してくると思っていたと思います。でも、壁の一番外だけが低かったので、壁を越すキックのふりをして別のコースを狙いました」(水沼)
その後は清水が押し返すものの、試合はそのままタイムアップ。内容を考えると妥当と言える結果だったと思います。
清水は3連続引き分けで17位と降格圏を脱出できません。試合後はブーイングが場内を包みました。ですが、はたして清水のサッカーは酷いのか。僕のこの日のカウントだと、清水は前半2回、後半3回の決定機をつくっていました。5回という回数は少なくないですし、しかもそのうち2回をしっかりとゴールに結びつけています。ミッチェル・デューク、ピーター・ウタカの2選手で攻略する左サイドは期待が持てそうです。
一つ気になったのは、ミスが起きた直後に「ハッ」としたように足を止めてしまう選手がいること。まるで自信を失っているかのようです。勝てていないことがプレッシャーになったり、自分たちの力を過小評価するようにしまっているのでしょう。この日お会いしたU-16日本代表、斉藤俊秀コーチと、斉藤コーチの現役清水時代には「やたら前向きで自信に溢れていた」選手たちが揃っていたことを話して終わりました。
さて、この日記者席までわざわざ来てくださったのは。
2010年まで広報だった上田健太郎さん。現在は営業として活躍していらっしゃいます。 広角レンズ使ったから顔がゆがんでしまってごめんなさい。
それにしても、こうやって声をかけてくれたり、受付では年に数回しかお邪魔しなくなっているのに顔を覚えていて、名前を言う前にわかってくれたりと、本当に清水は素晴らしい人材が揃っています。そう言えば、日本サッカー協会の前広報担当だった西澤和剛さんも、元清水の広報でした。
清水に来たら、他にもいろいろ楽しみがあります。エスパルスドリームプラザのお寿司屋さんとか、静岡おでんなどは定番コース。この日の帰りは新東名のサービスエリアで、抹茶ソフトクリームを楽しみました。
通常の3倍の抹茶が入っているということでした。そのために溶けやすいということですが、抹茶の渋みがうまい! 溶ける暇なんかあるわけない! 390円という値段にドキッとしたけど、食べて納得です。