【W杯】サンパウロの恐怖のシャワー

夜、高速バスターミナルにいると、昼間ウロウロしてかいた汗が気になり始めました。体にねっとりへばりついている気がします。このまま夜行バスに乗って試合を取材し、また夜行バスで帰ってくるまでこのままか——。

まだ調子があまりよくなかったので、気持ちが悪いのが余計に体をむしばむ気がしました。しかもサンパウロの夜が冷えてきて、暖も取りたい。そう思いながらターミナルの近くをウロウロしたのですが、あったのは3時間で40レアル(約2000円)という時間貸しの宿。ちょっと高いなぁともう一歩きすると、シャワーを見つけました。ターミナルのローカルバス乗り場に水の匂いのするところがあり、ポルトガル語で何かと、英語でBATHROOMと書いてあります。

入り口にいたおばちゃんに、ジェスチャーでシャワーなのかと聞くと、親指を立てます。凍えた様子を見せながら、温かいかと聞くと、またも親指を立てます。ヨッシャー!

値段は8レアル(約400円)。これならいいでしょ! と思って払い、中に入るとタオルがありません。おばちゃんのところにもどって体を拭くふりをすると、おばちゃんは両手を広げました。

どうやらタオルは10レアル(約500円)。え~(涙)。でもここまできたら仕方ない。10レアル払ってタオルを受け取ると、トイレのような個室へ。5つのドアからきれいそうなところを選んで入ります。
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さあ、これで汗を流し温まろう……って、温かくない!! でも、確かにブラジルのシャワーであまり暑いお湯が出るところはありません。それにしてもここのは冷たい。ええい! 心頭滅却すれば日もまた涼し! 逆だけど!

歯を食いしばりながらシャワーを浴び、タオルに付いてきた石けんで体をこすって、すぐに流していそいでタオルで拭きました。ガタガタガタ。

——ところが、不思議なことに、しばらくしたら体が温まってきました。汗も流して気持ちいい。煩悩の滅却はまだですが、とりあえずこの夜は心頭滅却できたようです。

ドアを開けるとそこには、入れ墨だらけのごつい男たちが。こちらの人はほとんど入れ墨を入れているようですが、隣の人は特に入念に彫っているようでした。そそくさと立ち去り、いよいよ馬尾毛の出発時間まであと少しです。

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