【W杯】サンパウロ探索と不思議な予言者

こんなことを書くと話を盛っているように思われそうなのですが、ともかく今日起こった事実を書いていきます。

滞在しているホテルは、実はサンパウロの中心地に近いというのがわかりました。そういうことを意識せず、単にメディアホテルに近い安宿ということで選んでいたのですが、好立地だったようです。

せっかくですからサンパウロ探索に出かけてみようと思いました。危険度が高いと言われているものの、南アフリカを経験していると、とても平和に見えます。なぜなら通りを人が歩いているから。特に女性が1人で歩いているのを見ると、ヨハネスブルグとはずいぶん違うと思います。

それでも用心に越したことはありません。ボディバッグの中には愛用のカメラ、NEX-6とサングラスだけにしました。何となく地図を頭に入れて歩き始め、20分ほど歩くと不思議なものが見えてきます。
 
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近寄ってみると……
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やはりこれは鳥居でしょう。そういえば、サンパウロは日本人移民の多い町でした。

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標識にも書いてあります。

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公園には日本語の石碑までありました。地球上で最も遠い場所まで来て、そこから日本に思いを馳せていたのだろうことを考えると、少々感慨深いものがあります。

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その方々がこんな立派な日本人街を作ったのでしょう。どうせなら日本人街でお土産を買っていこう。そう思っていろいろな店を回ったのですが……。

海外で日本と言うと、実物とちょっとずれた品物が売ってあったりします。ところがここは本当に日本。人気だったのは日本の漫画やアニメ、フィギュア、コスプレ衣装などで、特にコスプレ衣装はドラゴンボールやナルトなど、店の中で裁縫しているところも見られました。フィギュアや小物も充実しており、これは秋葉原よりも集約されているのではないかと思うくらい。

ところが残念なのは、あまりにちゃんとした日本なので、日本へのお土産にならないのです。誰もブラジルで買ってきたとは思わないだろうなぁ……。

仕方がない。別の場所に行くか。と迷いながら歩いていると、トウモロコシのお菓子を売っている子どもがいました。
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出かけるときも売っていたので、きっとずっと働いているのでしょう。300mlぐらいのカップにトウモロコシを茹でた後、すりつぶした甘い半個体が入っています。そこにカカオパウダーをかけて3.5レアル(約180円)。おいしいよ、と目の前で食べたら少しだけ微笑んでくれました。

食べながらふと気付くと、小柄な老女が横に立っていて、少年にお金を払い1カップもらっています。顔を見ると日本人、あるいは日系人だろうと思いました。その老女は最初僕にポルトガル語で話しかけ、「ごめんなさい」と首を横に振ると、流ちょうな日本語に変わりました。

「日本の方ですか?」
「はい、ワールドカップで来ました」
「残念でしたね。でもこれもいい思い出になりますよ」
「そうなればいいですね」
「ところで……」
彼女はそう言うと真顔になってこちらを見ました。
「セントロには行かない方がいいですよ。カメラも何もかも盗られてしまいます。日本人街は大丈夫。あそこまでにしておきなさい」

この言葉に驚きました。確かに僕はセントロと呼ばれる旧市街に行こうとしていたのです。日本人街に行ってきたのもお見通しでした。何も買わなかったし、持っていなかったのに。

「はい、わかりました。セントロには行きません」
「それがいいと思いますよ」

老女はそう言うと横断歩道を渡っていきました。

偶然かもしれません。でもこちらの心を見透かしたような言葉に僕は大人しくホテルに帰ることにしました。旅をしていると、時々不思議なことに出会います。
 

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