川崎vs鳥栖 15分間の成長と言えるのか
前半、何も起きませんでした。これは鳥栖のペースだったと言えるでしょう。豊田選手を出場停止で欠くばかりか攻撃陣に負傷者が続出し、苦しい状況の試合になっていたので、無理はしない代わりに試合を停滞させていたのです。しっかりとしたポジションで川崎を待ち受けると、レナト選手、大久保選手という好調な二人が連携しないよう気をつけていました。ですが、そのぶん鳥栖も何も起こせず、前半は両チームにとってひたすら「忍耐」という時間になりました。両チームだけじゃなくて、観客にとっても「忍耐」のときだったでしょう。というか、僕も前半のノートは白紙(笑)。
これで完全に川崎のペースは狂ってしまったのでしょう。後半に入ってもなかなか決定機が作れません。すると68分、CKから鳥栖の金井選手がヘディングシュートを決め、鳥栖が1-0とリードします。
2012年、等々力で鳥栖はリードすると残り30分を5バックに変更し守り切って勝ちました。この日は……と思ってみていると、76分、小林選手を入れてまたも5バック。さらに81分、ニルソン選手を入れてボランチを3人に変更し、完全に蓋をふさいでしまいました。
去年から15分間、5バックの時間が短くなったということで、鳥栖は進歩したのかもしれません。豊田選手がいなくてもしたたかに勝点3を拾えたことは、今季開幕直後の、攻撃に厚みが加わった分崩れていた守備のバランスがよくなってきたことも意味していると思います。
何より鳥栖にとっては警告を1枚ももらわずにこの試合を終えられたことが大きな収穫点でしょう。選手層が薄いとここから先は出場停止が大きく響きます。ただ、奇跡のように弾まない胸トラップを駆使して前線の基点になっていた野田選手は松葉杖をついてミックスゾーンに現れました。鳥栖の攻撃陣の綱渡り起用はまだ続きそうです。