川崎vs浦和 逆転劇に浦和のロマンチシズムを見た
ヤマザキナビスコカップの準々決勝第1戦は、ともに3-4-3でマッチアップし、お互いに様子を探るような前半もインジェリータイムを迎えたとき、浦和の興梠選手がディフェンスラインの裏にうまく抜け出し、先制点を挙げました。さらに47分、CKからの折り返しをまたも興梠選手が決めて2-0。アウェイで2点を奪うという試合展開に、浦和はしてやったりのはずでした。
川崎は63分、伊藤選手に代えて森谷選手を入れシステムを4-4-2へと変更します。これでミスマッチが起きました。残り30分、浦和がマークを変えて凌ぎきればあっさりこの試合は終わりか、という局面です。
僕はペトロヴィッチ監督が守備について確認するのだろうと思ってベンチを眺めていました。ところが、監督はしきりと前線に声をかけ、ボールを前に運ぶよう指示を出しています。どうやらミスマッチを利用して、さらにゴールを奪いに行けという感じでした。
ですが、浦和は相手のシステム変更に戸惑っていました。67分、大久保選手の折り返しをレナト選手が決めて川崎が1点を返します。さぁここで浦和の監督は守備を固めて……と、まだ攻撃の指示を出しているようです。ええ? という感じでしたが、結局そのまま好調な大久保選手が79分と80分にゴールを決め、川崎が3-2と勝ちました。
アウェイで2点をリードしても、なおゴールを目指すというのは、きっと勝負に徹する他のクラブだったら選択しない戦い方でしょう。ですが、それを敢えて選ぶところに、ペトロヴィッチ監督が遠くを見ている感じがします。決してロマンチシズムではないのでしょうけれど、そんな香りも感じつつ、2戦目が楽しみになった戦いでした。