フリーダムなアンマンで誰が一番得をしたか

ロイヤルヨルダン航空では、着陸のときに前の座席の人が背もたれを倒したまま、隣の人はスマホをずっといじっているというフリーダムなランディングだったのですが。

タクシーもいろいろフリーダムで、誰が一番得をしたかという寓話になりそうな経験をしました。

前日練習の取材の時間になり、現在地がよくわからないため、とりあえず行きはタクシーを拾うことにしました。地図に印をつけ、広い道に出てタクシーが通りかかるのを待ちます。ホテルの人に聞いたのは、灰色も黄色もタクシーだけど灰色のほうがちょっと高い、ということでした。迷わず黄色を選択します。

通り過ぎそうになっていたタクシーが僕の挙げた手に気づいて止まりかけました。すると後ろの車がいきなりクラクション。本当は地図を見せて値段交渉をしてから乗りたかったのですが、思わず乗り込んでしまいました。これはやばい失敗です。

運転手はいかにもやばそうなタイプでした。「あ~ぁ、キング・アブドゥラ・スタジアムじゃなくて、キング・アブドラ・スポーツ・シティな。わかった。メーターは動かさないぞ」。やばい。で、彼の交渉してきた値段が「4JD。いいな、4だ」。約530円です。「わかった、いいよ、それで行こう」。

やばいだろうという予感は的中して、この運転手さんは時速100キロで走りながら左手にタバコ、右手に携帯、おい!! 手を離すんじゃない!! というのが何度もありました。途中の標識が「キング・アブドゥラ・スタジアム」になっているのを見て、「おいおい、おかしいだろう」とぶつぶつ文句を始めました。20分ぐらいかけて到着し、こちらを向いてギロリと睨んで「おい、4JDだ」と言います。安さに感激しながら、しぶしぶ払っている振りをしてちゃんとおつりを1JDもらいました。

帰りはなかなかタクシーがつかまりません。やっと止まった1台がホテルカードを見て「20JDだ」とふっかけてきます。「いや、来たときは4JDだったから」「じゃあ10JD」。こんな運転手は約束して走り出しても、いろいろ難癖をつけてふっかけてきそうです。「無理。さよなら」とすたすた歩いてタクシーを後にしました。

15分ぐらい待ったところで、もう一台タクシーがやってきました。行き先を告げようとすると、乗り込もうとする助手席に誰かいます。あれ?
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どうやら息子さんを乗せていたようです。「構わないから乗ってください」と運転手さんは言って、「運賃はメーターで計算します」と、とても普通のことを言ってきました。しばらく乗っていると、後部座席に移された息子さんがぐずり始めます。途中で止めてもらって、僕が後部座席に移動し、助手席の息子さんをあやします。しばらくすると息子さんは寝てしまいました。そんな姿に運転手さんは途中で止まって、僕にファンタを差し入れてくれました。

ホテルまで、メーターで乗ってくると3.6JD。5JD出すと、さっとおつりをくれようとしたから、思わず子どもさんへのチップだよ、と言って降りました。

教訓話っぽいけど実話です。狙って作った話でもありません。こういうのを狙って作れたら、もっと儲かって楽な旅ができるのだろうけどなぁ(笑)。

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