横浜FMvs川崎 飄々としている風間監督の執念か
前半、横浜FMがマルキーニョスの2ゴールでリードします。1点目は11分、川崎のパスミスをカットし、2点目は34分、簡単なパス交換で中村選手が抜け出し折り返しが決まります。
この日、川崎の控えメンバーは豪華でした。ジェシ選手、小宮山選手、楠神選手、レナト選手、小林選手、小松選手という実績も経験もある選手がベンチに並びました。ということは、スターターに並んだのは大島選手、山越選手、風間宏矢選手というフレッシュなメンバー。正直に言えば、僕はこの時点で川崎のチーム崩壊を心配しました。ベテラン選手が控えに周り、若い選手がスタメンになると、しかも監督の息子さんが1トップを務めるとなると、きっとよく思わない選手がいるのではないかと。2点を先に失い、余計に不満がたまるだろうと思っていました。
後半、風間監督が動きます。小林選手をトップに入れ、さらに楠神選手を投入しました。ピッチに出ることに飢えていたように見える2人を中心に川崎が息を吹き返しました。逆に横浜FMは2点を、しかもあっさり奪って気の緩みが出て、球際などに緩さが見られる気がしました。また、運動量も急激に減少して見えました。
その隙を川崎が突きます。62分、田中選手がCKから1点を返し、同じく田中選手が85分、ミドルシュートを突き刺して同点としました。
この試合、横浜FMの独り相撲のような気もしました。もしも前半、決定的な3点目を奪っていたら川崎も本当に苦しかったでしょう。ですが横浜FMは自分で手綱を緩めました。
ですが、こういう解釈もできると思います。風間監督は後半勝負を狙い、前半、走り回れる選手を配置して相手を疲れさせた。その狙いがうまくいくのを確信して、ギアチェンジをするべく選手を投入した。
僕は風間監督の話を聞きませんでしたか。だから本当かどうかわかりません。ですが、こういう仮説を持っています。風間監督は自分の息子を踏み台にして後半勝負をかけ、同点に追いついた。
自分の息子に対していいシチュエーションを与えなかったのではないか。僕は風間監督が情に流され采配を誤るタイプではないと思っています。とすると、自分の息子までも勝利のために切り捨てたのではないか。先発だったのは捨て石としての起用だったのではないだろうか。
だとすると、勝負の世界って本当に厳しいと思います。救いは、いろいろなところで聞く風間宏矢の精神的なタフネスです。それにしても飄々としているようで風間監督は恐ろしい。そう思わせられる起用でした。