日本代表と「引き分け」を巡る話
なでしこジャパンもU-23日本代表もグループリーグ最終戦を0-0の引き分けで終え、監督の思惑どおりの決勝トーナメント進出となりました。もっとも関塚監督の思惑は、あまりみんなから理解されていなかったのかもしれません。なぜなら今週末のJ1は浦和vsFC東京を除いて、みんなエジプト戦と時間がかぶっています。試合時間を決めるときに2位抜けだと考えていたのでしょうね(笑)。邪推ですが。
2回の決定機を外したなでしこジャパンは、最後は無理な攻めをみせませんでした。U-23日本代表も試合終了が近づくと最終ライン付近でパスを回し、ゴリゴリ攻めることはありませんでした。この、コントロールして試合をクロージングできる、という戦いぶりを見ると本当に日本は進歩したと思います。
「ドーハの悲劇」の際は、最後に前にボールを運びカウンターを受けました。ソウルオリンピックのアジア最終予選では、アウェイで先勝しホームでは引き分けでよかったのに0-2で中国に負けて出場権を逃しました。自分たちでスコアを調整できるようになるなんて、ミスが多いサッカーというスポーツの中ではなかなか難しいことだと思います。攻めていったことで逆に失点することもあるのですから。
そしてよく考えると、日本代表の歴史の中でもわざと勝たなかった重要な試合というのがあります。それは44年前のメキシコオリンピック。グループリーグ2試合を終えて1位スペイン2勝、2位は日本で1勝1分、3位ブラジル1分1敗、4位ナイジェリア2敗でした。日本のリーグ最終戦はスペイン戦です。
日本は地元メキシコと対戦することになる1位通過を避けました。試合の途中でブラジルとナイジェリアがドローになったことが伝わると引き分けを狙います。これって釜本邦茂さんの伝記などに詳しく書かれていますので、興味がある方はぜひ。途中、監督の指示が伝わっていない選手が強烈なシュートを放つなど、ドキドキする場面があったものの、見事0-0で日本は2位になることができました。
その後、日本はフランスを下して準決勝に進出。ハンガリーに大敗して3位決定戦に回ったのですが、1位通過したスペインは0-2でメキシコに敗れていることを考えると、日本の選択はよかったのでしょう。もちろん、日本は3位決定戦でメキシコを下したので1位通過し、優勝したハンガリーとは別の山に入るという選択しもあったのでしょうが、ともかくメダルを獲得するという結果はちゃんと残しています。そしてそのメダルが日本サッカーがオリンピックで獲得したこれまでで唯一の勲章です。
それにしても、関塚さんがこんな感じで勝負をする監督だとは思っていませんでした。3戦目も同じメンバーで戦い、試合を決めたところで休ませる選手を交代させるのではないかと思っていた予想は外れました。3日会わざれば刮目して人を見よ、というところですね。
なでしこジャパンもまだオリンピックでは挑戦者なのだから、ぜひできることは何でもやって頂点を目ざしてほしいと思います。僕は自分のサッカースクールの子どもたちに、「相手に勝つ」「試合に勝つ」の次のレベルである「大会で勝つ」ということを考えてもらえる、いい材料をもらったと思っています。
それにしても、決勝が日本vs韓国になったら激アツだと思うのですが、そのときはチケットってあるのかしら。
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