川崎練習取材で見えたもの

練習マニアとしてこれは外せない。と思って川崎の練習取材に行ってきました。

取材に選んだのは木曜日。というのも、試合と試合の間隔が1週間の場合、よくあるパターンとして練習の組み立ては、
日曜日 オフ
月曜日 フィジカル
火曜日 個人戦術
水曜日 グループ戦術
木曜日 全体戦術
金曜日 前日練習
土曜日 試合
となるからです。普通に考えると木曜日には相手の特徴が伝えられ、攻守において対策が練られた動きが伝えられます。

風間監督の練習はフィジカル・トレーニングなしでいきなりスタートしました。ボールを動かしながら個人にディテールの修正が伝えられます。一見するとフリーズして指示を与えているように見えますが、そのストップしている時間が短いため、選手はシンクロトレーニングだと感じられることでしょう。 

そんな練習がフィールドの大きさ、選手の人数、時間を変えて続きます。ときどきストップしてセットプレーが入りますが、数本で終わるので気分転換のスパイスとして効いています。小まめに水分補給の指示も出るものの、すべての時間が短いので、集中力を大幅に緩めるときはありません。

オシム代表監督のときの細かくメニューが変わっていく練習を思い出しました。ただ、オシム監督はときどき長いインターバルが入っていたので、動かしつつディテールを詰め、セットプレーを入れるというのは西野監督のG大阪の時に見たトレーニングに似ています。

サクサク、という感じでトレーニングは終わりました。どのメニューでも選手の休みの時間は短いので、たとえ練習時間が少なくとも、これは疲れるでしょう。しかもこの日は違いましたが、他の日はトレーニングの量も多いようです。選手の疲労は、最後のメニューで一度みんなのスピードが上がったものの、落ちるのも早かったことから推測できました。

ただ、何より驚いたのは、横浜FM対策と言える動きがなかったことでした。どうやら相手の特徴などは伝えない方針ということでした。まずは自分たちのサッカーを追求できるか。風間監督に聞いたところ、「相手にボールを渡さなければいい」とか「ミスがなければ」という理想的な言葉が返ってきました。普通ならそこで、「それは机上の話であって、実際のピッチではどうするのか」と突っ込めるはずですが、どうやら風間監督はそんな理想に向かって、あるいは理想を見つめて動いているようです。少なくとも近未来を見て指揮しているのではないというのがわかりました。昔、横浜FCで信藤監督が信念を持って「2-4-4」を続けていたことが思い出されました。理想を実現しようと燃えている指揮官に「現実はちがう」というのは不可能でした。そしてぜひその理想を実現してほしいと思わせられました。僕が思うくらいですから、きっと選手たちもそう感じているのでしょう。

もっとも、川崎がかつての個人の能力を最大限に生かすという戦いぶりから大きく舵を取ったことは間違いありません。その時期に苦しいのは当然だとも思います。はたして川崎はその苦痛に耐えられるでしょうか。

 

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