またやってしまった的な失敗談
サッカーからはちょっと離れる話です。
朝、しっかり天気予報で曇り空が続くと確認してから外出したのに、打ち合わせを終えて外にでてみると小雨がぱらぱらと降り続いていました。
次の取材場所まで歩く途中に電話を入れてみると、どうやら今日の原稿はいらない模様です。泣きっ面に蜂かな、と思いながらそれでも念のため持っていた折りたたみ傘に救われて濡れずに春日駅を目指して歩いていました。
駅まで数メートルのところで一人の男の子がこちらに向かって歩いてきました。体の大きさからいえば小学校5年生か6年生、でもランドセルをしょっていることを考えるともっと下だったかもしれません。
男の子はびしょぬれでした。傘は持たずレインコートも着ずにとぼとぼと歩いています。学校指定の帽子でしょうか、深くかぶっていてそれがかろうじて顔が濡れるのを防いでいます。
思わず声をかけてしまいました。
「君は傘を持っていないの?」
男の子は立ち止まって顔を上げずに言いました。
「はい、傘は持ってません」
「じゃあさ」
僕は手に持っていた折りたたみ傘を差し出しました。
「これ、持って行きなよ」
男の子は顔を上げてこちらを見ました。
たちまち彼の目に火が点ります。
「いらねぇよ」
男の子は吐き捨てるように言いました。
しまった、またやっちまった。
でも、もう一度言ったらわかってもらえるかも。
「そう言わずに持っていかないか」
男の子はもう一度こちらをにらむと下を向いて
「これから××に行かなきゃいけないんだよ」
とこれまた怒気を込めて言うと歩き始めました。
彼が数歩歩いた背中に声を投げかけました。
「そんなに突っ張らなくてもいいよ」
男の子はドキッとしたように一瞬身をすくめると
ちょっとスピードを上げて歩き始めました。
僕はそれ以上、追うのは止めておきました。
男の子にしてみると、
きっとよく訳の分からない人に話しかけられて、
傘を押しつけられそうになった、
ということなのでしょう。
傘を押しつけられた後には
どんなひどいことが待っているかわかりません。
たった一本の傘をきっかけに
後々まで付きまとわれるかもしれないのです。
今までもたびたびそんな誤解を受けてきました。
ある人に頼まれて届け物をしたときなども
危うく玄関で通報されるんじゃないかということもありました。
見た目って悲しいなぁ。
でも、見た目じゃなくて、
小学生はどんな知らない大人から話しかけられても、
同じような態度をとるように教えられていると信じたい。いや、信じさせてくれ~(涙)。
ともかく雨が悪いんですよ。
洗濯物を干してきたってことまで含めて……。