J1昇格に対する考察
J2にいるクラブにとってJ1昇格は大きな命題です。
ですが、J1昇格に対して大きなコストをかけ過ぎると、クラブの存続そのものが危なくなってしまいます。
かつてJリーグの一つのモデルケースは甲府でした。甲府はJ2からJ1に昇格したとき、クラブの収入が7億円上がったと言われていました。つまり、昇格した後に7億円収入が増えるという前提にチームを作ってもいいのではないか。そう考えられていた時代がありました。
まず現在Jリーグのクラブがどれくらいの年商でやっているのか。J1の場合、ほぼ20億円以上です。J2でも柏や千葉はJ1にいたときからスケールを落としていないので20億以上ではないかと言われています(J1での例外は山形と湘南です。ともに15億円前後でやっているのだと思います)。
甲府モデルが成り立っているとして、J2のチームがJ1で戦っていくためには今年約13億円程度集めなければなりません。その半分を入場料収入で集めるとして約6億5000万円。一人当たりの入場料を2000円として、36試合で計算すると、平均で約9000人の入場者が必要となります。
ところが、この甲府モデルが崩れています。経済が停滞している影響から、昇格しても約2億円を積み上げられるくらいではないか、という話もあります。
ということは、約18億円をJ2として集めなければ、J1に昇格して厳しい予算の中で神懸かり的な経営が求められることになります。ただ、J2で18億円集めることも非常に難しく、普通に考えると大きなスポンサーに頼らざるを得ないことになります。というのも、J2全体の平均観客動員数は2009年度で約6000人なのです。
それでは周りに大きなスポンサーはあるか。どう考えてもどこも苦しい。となると小口のスポンサーを集めなければならない。ですが、小口スポンサーを集めるためにコストをかけると、それがクラブのイニシャルコストとなって経営を圧迫するようになります。
ではどうするか。単純に考えると、やはり観客動員数を、というかサッカーファンを増やすというのが王道でしょう。どんな成績でもサポートしてくれる熱心なファンがいて、だからと言ってその状況に甘んじることなく、上を目指すクラブの姿勢がないと、昇格して、その地位を維持するだけの資金は集まってこない気がしています。
とりあえず、本日の覚書。