ごめんね森選手
試合後、記者会見場が片づけられ、そこが選手と記者が話をするミックスゾーンになりました。
森選手はテレビの取材を終え、記者たちの囲み取材を終え、やっと顔見知りの記者たちのところにやってきました。
この日も森選手はヒゲを剃っていました。試合終了後、手袋を叩きつけたことを、これでまた非難されるのではないかと心配していました。そして顔見知りの記者の前では、気を使っている記者たちを明るくさせようと大きな声になり、広報担当者から注意されて、また落ち込むという、アップダウンの激しい姿を見せていました。
それまで彼に何度か投げ掛けられていた質問に「ナビスコカップの事件は影響したと思うか」というものがありました。直接的だったり、間接的だったり。頭のいい森選手は常に相手がどのような答えを引き出そうとしているか考えながら対応しています。彼には相手が何を言わせたいかすべてわかっていたはずです。
そして森選手はずっと言い続けていました。
「申し訳なかったと思います」
ミックスゾーンをさる前に、森選手は「あまり自分のことを取り上げないでください」と僕に一言。取り上げられることで表に出るのをよくないと思っているようです。
粗にして野だけれど卑ではない。本当の森選手はそういう人物ではないのだろうか。大雨の中を帰りながら、そう思ったのは同じ名字のよしみなのかもしれません。また話題に取り上げてしまって森選手には申し訳ないとも思ってますが。