食道楽
朝食は中華も洋食もあるバイキング。いつものようにたっぷり食べた。餃子がうまい。ちょっと前は日本と中国で毒餃子問題が持ち上がっていたが、関係なくばくばく食べてしまった。おかゆも最高。
腹が一杯になったところで町へ。重慶の大気汚染は想像以上だった。東京のきれいな空気が懐かしい、とハノイにいたときは言っていたんだけど、そのハノイの空気が懐かしい。ただ、ハノイの人はみんなマスクをしていたのに、重慶ではマスクはほとんど見かけない。大丈夫なのか、みんな。
重慶市は人口約3500万人の大都会。その中心地で日本から解放された記念碑、解放碑のある広場はいつも渋谷のスクランブル交差点並みの混雑ぶりだ。広場ではしょっちゅう大音量で音楽がかかっている。中国の歌も聞こえるが、イーグルスの;ホテル・カリフォルニアなども流れているし、さらにはその大音量でカラオケ大会が開催されている。渋谷のスクランブルでカラオケ大会という想像をしていただいたら、そのパワーがお分かりいただけると思う。解放碑のすぐ横のこのホテルでは、少なくともイヤホンなしで仕事はできない。
夜、モノレールに乗って重慶の町を走ると、大きな川を挟んだ両岸に並んだ高層ビルとけばけばしいまでのネオンが目に飛び込んでくる。まるでアニメーションで表現された近未来都市のようだ。ということは日本の都会の夜景にも似ているということなんだけど。
「中国でも日本のアニメは人気があります」と日本代表の練習を見に来ていたチン・シンさんは言う。中国伝媒大学アニメ学科の学生だ。日本のアニメが好きで、日本語を習い、いつか日本でアニメの仕事に就きたいと思っている。
02年ワールドカップで見て日本代表も好きになった。同じように日本代表が好きな友だち4人と一緒に練習場に来ている。トレーニングを終えバスに乗り込む選手たちに日本語で「お疲れさま」と一生懸命に声を掛けていた。川口選手のファンなのだそうだ。 「日本の人と一緒に応援したい。でも日本人の席は日本人しか買えないんです。早く中国と日本の関係が改善されてほしいと思います」。4年前のアジアカップで日本がでの反日運動のことは知っている。彼女たちは胸を痛めていた。そして中国にも日本を好きな人たちもいると分かってほしいと言う。
彼女たちとスタジアム近くの食堂に行く。どんどん頼んでくれぃ、どうせ安いのだから、と大盤振る舞い。
おいしい。でも何かよくわからない。
よく食べる子たちなのかなぁ、と思ったけど、やっぱりみんな食べませんでした。持ち帰りたくなるくらいおいしかったのだけど。これ全部で800円ぐらい。
ところで今日の練習場は町中のスタジアムだった。早めに行ったらこれぞ中国というイメージどおりの広場で太極拳を練習する人たちを見ることができた。ゆっくりとしたなめらかな動きが繰り返される。老女がみんなの間を歩いて回り出した。指導しているのだが、この指導方法が厳しい。ぐいっと手を引っ 張ったり、動きがおかしいと足を叩いたりしている。
ところで、この町中のスタジアムにはトイレがなかった。人に聞いて探すと公衆トイレがあった。床はタイル張り、一本の溝が掘ってあり、腰の位置の高さに囲いがある。ドアはない。さすがに前後は仕切られていて、座っている間はお互いが隠れるものの、横を歩くと排泄している姿がもろに見える。しかも有料。1円にも満たない額なのだが。
中は薄暗い。人がいなさそうなのを見て記念のために写真を撮った。ところがフラッシュが光ると、おわっという声がする。てっきり誰もいないと思っていたのに数人が用を足していたのだ。慌てて退散する。
さっきあんなに食べたのに、地下鉄の駅に行ったらまた何か売っている。30円。買った!