徒歩で出国?
結局、ホテルでインターネットは接続できないままだった。仕方がないので早めに空港に行く。想像してたけど、やはり誰もいない。カウンターも開いてない。しばらくウロウロしたけれど、耐え切れなくなって空港内のコーヒーショップに入った。6匹のハエが飛び交う中、とてもエスプレッソとは思えない薄いコーヒーのラージサイズを3ユーロ(約480円)で飲んだ。
それにしてものどかな空港だ。目の前に小さなプロペラ機がよたよたと着陸してきた。ぱらぱらと人が降りてくる。そう言えば朝、ニュースをみていたらオーストリー航空のプロ ペラ機が着陸のときに右に傾き、翼を破損しながら止まった、という事故の様子を放送していた。
次第に出発の時間が近づいてくる。滑走路にはさっき飛んできたプロペラ機がぽつんとたたずんでいるだけだ。あれ? まだ飛行機はやってこないのかな、と思っていたら、そのプロペラ機が搭乗機だった。時間になる。係員がゲートに立つ。みんなチケットを見せて、そこから滑走路まで荷物を持って歩いていく。のんびりした風景だけど、自分が乗るとなるとちょっと不安が募る。
ともあれ、プロペラ機は無事にウィーンに到着し、成田までの便も元気に飛び立った。相変わらずトイレの数が足りず、みんないつも並んでいる。トイレの臭いが充満する飛行機ってどうなんだろう。
結局、試合が終わってオーストリーを発つまで、日本人以外の誰ともサッカーの話はしなかった。地元が負けたから、というのもあるだろう。だけど、日本のサッカーに対する注目が低いというのが現時だろう。まだまだアウトサイダーなのだ。スイス戦の前半を見ればヨーロッパと日本との差は大きいことが明らかだったし、大会期間中にいろんなチャンネルで放送されていたEURO2008の予選を見ると、別のスポーツのようだった。
ペナルティエリアの外でもシュートは打つべきものだし、GKを脅かさなければならないものだ。どんないいポジションに味方が走り込もうとしていても、自分の前にボールがすり抜けるだけのスペースがあったら、ためらわずに打つ。日本人のシュートが下手で決まる確率が低いのなら、今よりもっとシュートを打つしかない。打つべし、打つべし、打つべし、とボクシング漫画のようなことを考えていたら、成田が近づいた。明日のJリーグの取材からは、選手にもっとシュートについて聞こう。そう言えば次のJの試合取材に行くよ、と話したら「ぜひ来てくださいね」と巻選手はステキな笑顔で応えてくれてたっけ。