酔っぱらったオシム監督

スイス戦。前半2点を奪われ、後半中村俊、巻、中村俊と逆転するものの残り10分で同点に追いつかれる。だがロスタイム、矢野のゴールで勝ち越し、4-3の大逆転勝利。この大会の優勝を勝ち取った。
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昨日からスイス人やスイスの応援団が何人もウロウロしており、いろいろからかわれる。積極的にトラブルには絡みたくないのに。

だからバスに乗るとき、こちらを見て何かひそひそ話している家族連れ3人がいたので、ちょっといやな感じがしていた。息子は中学生ぐらいだろうか。大きくなった体のコントロールがまだできないような、ぎこちない歩き方をしている。

彼はちらちらとこっちを見ながら鞄をごそごそし始めた。また赤に白い十字のスイスのシャツでも引っ張り出すのかな、と視線を外す。まったく、今日のクラーゲンフルトは救急隊員ばっかりだ。

だがふと視線を動かしたら見慣れたものが目に入った。今日、スタジアムで敵役としてブーイングを浴びるはずのチームのシャツだ。彼は立派な日本代表のシャツを着ていた。驚いて視線が固まってしまう。それに気付いた家族連れはうれしそうに微笑んだ。息子に話しかけてみる。
「英語を話しますか?」
「イエス」
「どうして日本が好きなのですか?」
「……」
「年齢は?」
「……」
「どこに住んでるの?」
「……」
通じない。

ともかく彼がにっこり微笑んでくれたので「サンキュー」と言って元のほうを向こうとする。すると
「ナカムラ」
と話しかけてきた。
「ナカムラ」
「イエス!」
「カワグチ」
「ナカザワ!」
「イエス!」
声が大きくなってきて、周りの乗客もこっちを見ている。クラーゲンフルトのマフラーをしている人の良さそうな爺さんが「ヤパン!」と言って参加してきた。
「アイ・ライク・ジャパニーズ・フットボール」
中学生は単語を並べてやっと一文だけ話した。その「ライク」という言葉はきらきらと耳に響いた。

この日、スイスと日本の対戦ということで、タジアムは満員にならなかった。ブーイングは思ったほどでもなかったけれど、スイスの応援の声は思った以上に大きかった。結局できあがらなかったスタジアムの中でも、とても響いていた。
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だけどそれ以上に日本を応援する人たちもいた。最初は判官びいきということもあったのだろう。でも、きっとあのバスの中にいた20人ほどの人たちは、最初から「ヤパン」と声をかけてくれていたのじゃないかと思う。
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この日は試合前にクラーゲンフルトの地元料理が報道陣に振る舞われた。日本人とスイス人が肩を並べて舌鼓を打った。ソーセージはさすが本場の味。
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試合後にはワインやビールが振る舞われた。オシム監督は記者会見にほろ酔いで現れた。自分の住んでいた地域と友人が多いところで、順調な仕事ぶりを見せることができて幸せだったのだろう。

だけど、大会中のこちらの新聞に、オシム監督が日本に対する不満を言っているという報道も出たという。溝はいつ埋まっていくのだろうか。

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