カタールの高木ブー
5日の22時30分に午前のトレーニングが中止された。夕方、日本代表は地元チームとの練習試合を行った。【4-5-1】【3-5-2】【4-4-2】と次々に形を変えながら選手が試される。各ポジションのタスクの理解力が求められていた。
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メディアホテルに泊まったことで、他国のメディアと知り合いになることができた。中東からはテレビ局が大人数を送り込んできている。彼らが泊まっているのはランクが2つ上の部屋だ。金持ってるなぁ。
日本代表の午後の練習には外国人記者も来ていた。日本の選手に詳しい。 彼からカタールのテレビでエメルソンのことについて話せと言われる。エメルソンをみんなが好きだったのに、とかエメルソンは日本にとって脅威だ、とか今回 対戦してやっつけるのが楽しみだったのに、とか。
ホテルに帰り、練習レポートを上げた後に1階に降りる。見たことのあるテレビクルーがいた。フルーツをおごってもらう。彼らはすごく美人のキャスターを連れていたのだが周りの男性のガードが堅くて写真撮影すらアタックできず。一緒に飲みながら気付いたことが一つ。彼らの中で一番太っている男がいた。
彼です。彼ら同士が話していると何を言っているか全然分からない。でも、この彼がみんなが話をしているときに口を挟んで何か言い、さっと腕で顔をガードする。同時にみんなからおしぼりが彼に飛んでいく。これってドツキ漫才と同じ呼吸だ。ボケ、ツッコミは万国共通だった。そして太っている人物がオチを取るのも一緒。よもや吉本スピリッツが中東にまで波及しているとは思わなかった。
片や、この方はカタールのテレビのレポーター。
夜はリラックスした服になってるけど、昼間はちゃんとした中東の格好をしたりスーツを着たりしてレポートしている。日本代表の練習場にも現れた。
ところが試合の間の日に、彼は湖でスワンボートをこがされていた。もちろんもう一台のスワンボートにはカメラクルーが乗り込んで収録している。彼はボートをこぐだけじゃなくて、他のスワンボートに乗っているカップルめがけて突進し、マイクを片手に飛び移ろうとして湖に落ちかけていた。聞いている内容は、「明日の試合ってどっちが勝つと思うか」。どうも中東のテレビって硬軟両方こなさなければならないようだ。
ところでメディアホテルでは中東のテレビを見ることができる。感心するのはサッカーに割いている時間が多いこと。というか、他の娯楽が少ないのかもしれない。
だけど、サッカー中継が終わった途端、その試合の警告や退場のシーンをすべてつなげて流し、判定の基準が正しかったかどうか(だと思う)を検証している。さらにしばらくするとスタジオで、たくさんの解説者が出てきて試合について議論している(だと思う)のだ。
いかにも中東風なのは、解説者は横長の椅子に寝そべっていること。さらに床には高そうな絨毯が幾重にも敷き詰められていること。そんな格好で数時間は話をしているようだった。