トリニダード・トバゴ戦のこと

オシム監督の言葉。「欧州では試合に負けるとすべてを失う可能性がある。日本では勝っても負けても、人生は明るく続いていく。普通の人生とサッカー人生は違う」(トリニダード・トバゴ戦のパンフレットより)。監督にはこの哲学が染み付いているようだ。負けるということに対しての恐怖心が表れている。もしかすると、この試合に負けることで一気に自分の日本でのキャリアが終わるのではないかという思いがあったのではないだろうか。だからこそ前日の会見では負けたほうがいいなどと言い、この日の記者の質問に対しても木で鼻をくくったような返事をして、決して揚げ足を取られないようにする。前任者が日本でプレーの経験があり、世界的にも有名だった選手ということで、プレッシャーに感じたはずだ。だからこそ、この日は浦和勢を多用して、浦和のサッカーで勝負した。通常、監督の初戦は自分のサッカー観を出すために無理をする。だが、この日はサッカー観よりも勝負が優先された。だからと言って、その手法の完全否定は出来ない。むしろスタンダードだろう。

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