オランダ?コートジボアール
オランダ?コートジボアールを見にスツッツガルトへ。旅の仲間はL君と吉本君。L君のお父さんはサッカー観戦では有名な人で、アトランタ五輪で一緒に観戦していたことが判明。その時は小学生だったらしい。吉本君はあだ名で、学生時代に吉本興業に所属していたことからついた。背が高く陽気で長髪のイケメン、仮面ライダーシリーズに出てきそうなレビン君と、いつもワインレッドのニット帽をかぶっていて、スキあらばボケたり突っ込んだりする吉本君。吉本君の帽子は髪に悪いから、帽子を取った時に相手を笑わせるネタを考えつづける。彼らとの道中は、笑いっぱなしで、全然眠気を感じなかった。これってスリに会わないのに重要だ。
スリといえば、中学生のころから海外にサッカー観戦に行っているN君が置き引きにあった。パスポートとカードは無事だったが、試合のチケットと飛行機のチケットをやられちゃったらしい。他にも今回は旅慣れている人でもやられているらしい。急いで支払う時にバッグの上の方に入れていたら、いつの間にかチャックが空いていたとか、バッグの奥底に入れていてもやられたとか、数多くの試合を取材してきた報道陣の中でもやられたという。
ということで、昔から目撃したスリの例を2つ。
1.路面電車を待つ人の列に、電車到着の直前に子供たちが最前列に割り込む。ところがこの子たちは乗り込むフリをして腕を突っ張って乗らない。押し寄せた人がぎゅうぎゅう詰めになる。というか、後ろから押してる人物がいる。列車到着の直前にやって来たみなりのいい紳士。上着を脱いで腕にかけていた。そこからスリを働いている。しばらくすると子どもたちが消える。同時に財布も消える。その時は気付いた人が警告を発してみんな助かった。
2.ブラジルのサンバの衣装の女性。身に付けているものはミニマム。陽気に踊っているのでみんな寄ってくる。ぎゅうぎゅう詰めになる。そのスキに仲間の男性が財布をスリ取っていた。警察が見つけて2人も御用。いやぁ、危うく引っかかるとこだった。
閑話休題。スツッツガルトへの乗り継ぎはドイツ国鉄(DB)のホームページで検索した。DBのホームページは時刻表と乗り換え案内が一緒になっている。しかも到着や発車のホームの番号まで出る。ドイツではホームの番号が3番、4番、と来て次が7番だったりすることがあるから、今ひとつプラットホームの距離は分からないけど、これってかなり便利。ただ、今は結構列車の運行時間がずれているので、あまり当てにならないと聞く。
8時56分の電車DEG29062に乗るためエンスヘーデの駅へ。この駅ではドルトムントまでの切符しか買えなかった。のどかな鈍行でドイツを目指す。電車が走っている間に、窓から見える家に掲げてある旗がオランダ国旗からドイツ国旗に変わって国境を越えたのを知る。すると係が来てパスポートを見せろと言う。ワールドカップで来たと言うとチケットも出せと言われた。バッグの奥底に入っているからと出さない。ならばいいと去って行った。本物だったのかどうか、チケットは単に興味があったのか不明。
時刻表どおり11時7分にドルトムント着。乗り換えに30分あった。エンスヘーデで買えるチケットはドルトムントまでだったので、ここでドイツ国内のチケットを買う。窓口に凄く人が並んでいる。理由はすぐわかった。窓口の人がとてもとても親切なんだもん。行き先を聞いて、アドバイスして。11時30分にチケットをやっと購入。11番線に行くと隣にICEで、スツッツガルト行きというのがある。プランではマンハイムに行き、そこでスツッツガルトまで乗り継ぐ予定。迷うが、スツッツガルト行きの方が列車が古そうで、しかも混んでいる。予定どおりの列車ICE507を選択。コンパートメントにこそ入れなかったが、テーブル席にゆったりと座った。列車の中にオランダ人の姿は見えない。
マンハイムに14時27分の定刻着。となりのホームから14時31分のICE597に乗ってスツッツガルトまで。10分程度遅れている。オランダ人が一杯で、混雑していて座れない。でも乗っているのは短く15時20分到着。定時から12分遅れだった。ここまでのチケット代金はエンスヘーデからドルトムントまでが39ユーロ、ドルトムントからスツッツガルトまでが89ユーロ。
駅を降りた時点からオレンジ色が溢れている。だがよく見るとオランダ人だけじゃない。コートジボアールもオレンジがベースカラーだ。シャツに書いてあった国名で分かる。間違えないように気を付けないと。吉本君の「1 Ticket WANTED」という紙を作る。ホテルの便せん。吉本君用意なし。かなり恥ずかしそう。ちょっと吉本君から離れてサングラスを見るが、レーとの関係で日本のほうが安い。戻ると一人オランダ人が300ユーロでオファーを出したという。高くて手を出さなかった。広場に向かう。オランダの楽隊がいる。大人気。彼らが動くと見物客も動いている。日本人が一人寄ってきて、スタジアム周辺だともっと安くなっていると聞いた。親切。スタジアムに行こうとする。そこにオランダ人。200ユーロのオファーを受ける。吉本君、喜色満面。高揚しているのは、帽子で暑いだけじゃないはずだ。地下鉄に乗ってスタジアムへ。駅では人の流れを見て電車を選んでいたが、英語が話せないまでも駅の係員のおじさんが、一生懸命これに乗れと教えてくれた。
駅につく。歩いていると、後ろから日本語でオランダ人に声を掛けられた。今度休暇を取って日本に行くと言う。初めての日本だとのこと。かなりうれしくなる。彼にとっていい旅になりますように。5分程度歩いたらボディチェック。大混雑。しかもよくみたら黄色のチケットを持っている人だけと書いてあった。案内に従って他のゲートを探す。途中で道端の係員にどのゲートに行けばいいのか聞く。すると今、列から離れたばかりの場所に行けと言う。不思議に思って歩き出すと、ちょっと係員たちの動きがおかしい。そして今までプレステージチケットのゲートだったところを開放しているようだ。慌ててそっちに並ぶ。すいすい。ボディチェックのゲートが少なくて間に合わなくなったようだ。
スツッツガルトのスタジアムは陸上トラックがあり、しかも傾斜がほとんどないので見にくい。前後ともオレンジ色だが、前はコートジボアール、後ろはオランダ。お互いにちょっと気を遣い合っている。コートジボアールの中に一人だけオランダ人。コートジボアール人からマフラーをかけられ、かなり困っていた。観戦記は別途書くとして、試合途中から目の前の女性は試合をまともに見られなくなっていた。試合中に何度もウェーブが回る。試合に見取れて何度も参加し損なった。「オーラン!」というコールにドイツ人が「ドイッチェラン!」とかぶせる。ゴール裏で何人かのオランダ人がドイツ人に詰め寄っていたのが見えた。試合終了後、通路でオランダ人のおばあちゃんがステップを延々と踏んでいる。
さしたる混雑もなく地下鉄に乗り、中央駅へ。L君、吉本君と別れる。駅前で、チケットのことで声を掛けてくれた日本人と偶然会う。彼らはチケットが高くて見なかったそうだ。駅の中に移動すると、ばったり前田義貴君と会った。彼は元サガン鳥栖、元アルエット熊本(現ロッソ熊本)のGKで、現在はサッカー雑誌の編集者だ。駅のバーで飲む。そこに平野史さん合流。前田君と別れて、平野さんが借りているアパートのあるフランクフルトに向かった。22時6分発のはずが、約30分遅れる。平野さんはドイツの列車はいつも遅れると言っていた。全部の車両が2等。あっさり座れて、フランクフルトを目指す。約2時間、49ユーロの旅。フランクフルトの中央駅から地下鉄5番線で終点のひとつ前。中央駅から約20分の距離だった。地下鉄は片道1・9ユーロ。
いろんな媒体で活躍している平野さんは、とてもち密な下調べをして書く人だ。ところが、私生活はそうでもないらしい。ドイツに来てすでに2週間が過ぎようとしているのに、まだ自分の降りる駅を覚えていない。「えっと、中央駅までは地下に潜ってから3つか4つめぐらいだから」と、何とも惑わすような町への出方を教えてくれた。冷蔵庫の中には水道水を入れたペットボトル。「水って僕は何でも飲めますから」とのこと。たくましい。寝る時に耳栓を渡され、「僕っていびきがひどいらしいから」とのこと。だけど平野さん、それぞれの耳に10個ずつ分あるんですけど、とおかしくなっていたらもう平野さんは寝ていた。いびきは気にならない(って書いときます)。